本当に苦しいのは魔法がかかるまでの時間、本当に恐いのは注射が刺さるまでの時間

緊急自体宣言下かつオリンピック開催中の東京、渋谷JZ Bratでの、加藤咲希 Saki Kato Debut Album Release Party “Anything Blue” にお越し下さった皆さま、配信でご覧下さった皆さま、本当にありがとうございました。

燃え尽きて、死んで、寝て起きたらまた生まれ変わって、別の人になっていました!

トオイダイスケさんと菊地成孔さんが素晴らしかったです。

両隣りで、2匹の龍が戯れていました。私は真ん中にいました。包み込んだり、暴れたり、争ったり、会話をしたり、しなかったり、思いやったり、抱き合ったり、していました。ぐるぐるぐるっと、DNAの螺旋構造のように、音の渦が昇っていきました。

でもやっぱりプロデューサーのトオイダイスケさんが、全てです。今までに聴かせていただいたトオイさんのピアノの中で、いちばん焦燥に溢れ、だからこそ終幕に向かってのもの凄い開放がありました。あんなにギリギリのところをいく、殺気だったトオイさんのピアノは初めてです。でもあれが、本来発揮されるべき、トオイダイスケの天賦の才のひとつです。今回私たちは、いちど死に向かっていかなければならなかったのだから、その天才が発揮されざるを得なくなったのは、当然の帰結であったのかもしれません。

本当に苦しいのは魔法がかかるまでの時間、本当に恐いのは注射が刺さるまでの時間。

逆に鬼才と表現されることの多い菊地成孔さんのテナーと歌が、どこまでも優しく慈愛に満ちて、柔らかく、ただただ美しかった。ご自身のリーダーライブではなくて、ゲストとして、ボーカルの歌伴として、生徒のお披露目会のお祝いとして、バンドメイトのリーダーライブのサポートとして、入って下さったのだから、こちらも当然の帰結なのかもしれません。この編成で、あの役割をお願いできるのは、菊地さんしかいませんでした。菊地さんのブルーはとことん優しいブルーでした。あらためて、音楽家として、師匠として、尊敬します。もちろん誰もが同じような成長過程を辿れるわけではないし、明らかに菊地さんは天才であるので元からそういう性質なのかもしれない。でも、もし経験を重ねることによって、あの柔らかさのほんの一部でも音楽家として得ることができるのならば、私は歳を取ることが楽しみだと思いました。

共演して下さったお二人に感謝します。

昨晩が、私のジャズの歌い手としての、本当の始まりだと実感しています。私はもっと、精進します。私にできることは、日々の祈りとしての練習や制作や出演を重ねること。

今までは、長いようで短いようで、やっぱり長かったような、プレリュードでした。プレリュードも素晴らしかったし、苦しかったり、悲しかったりすることも含めて、ぜんぶ楽しかった。

そして、昨晩、歌い終えた瞬間、私はいちど死んで、人生がもう変わってしまったので、またこの自分という物語の、今度は別の、今のこの新しい章を、やり切ります。

昨晩のライブは、2ndセットが配信されていたのですが、8/14(土)までは録画映像のご視聴が可能です。ご覧いただけたら嬉しいです。https://twitcasting.tv/c:liveconnection/shopcart/75297

録画視聴のチケットとは別に、おひねりチケットというものがございまして、こちらには、リハ風景、楽屋でのプライベート写真と、ライブ後のスペシャル動画メッセージ、全員のサインという特典が付いています。われながら面白い写真をたくさん撮っていただきました。あんなところ普段は見せられない!という場面が満載です。動画メッセージもわれながら面白いです(笑)↓

https://live-connection.shop/items/60a0ba628899be1851baad7

ライブにお越し下さった方もよろしかったらぜひ。

昨晩同じ時間を共有して下さった皆さんに、これをお読み下さっている貴方に、これからも、素敵な音楽の、たくさんの祝福がありますように。

ライブ写真を撮って下さったSean Brownさん、平山巖さん、ありがとうございました!

そして最後に、JZ Bratという素晴らしいジャズクラブに感謝です。最初から最後までとても丁寧にサポートしていただきました。いろいろな青が層になっている、オリジナルカクテル”Anything Blue”をメニューに入れて下さいました。

PAにいたっては今まででいちばん歌いやすかった、どころか、私の声の特徴を瞬時に掴んで引き出して下さいました。今まであんな風に歌わせていただけたことはないです。こういう風に歌いたかったんだ、ということがわかりました。本当に生まれ変わりました。

そしてショウは続きます。