The Virgin Suicidesを終えて

1/31自由が丘hyphenにお越し下さった皆さまありがとうございました!The Lost Sweetsを結成してから2回目のライブでした。

今回の企画は
“The Music From The Films by Sofia Coppola Chapter 2 – The Virgin Suicides -”

DJ、朗読、解説、ピアノ&シンセソロ、ボーカルライブをプログラム付きでお届けしました。

準備に費やした数週間、よりこの映画の霊性の中を色濃く生きていたように感じます。それは背伸びをしたり憧れたりする必要のない、とても肌なじみのよいものでした。自分の内面宇宙がそのまま世界に表出してしまったような作品に出会うことがあります。もちろん或いは、ジャック・ラカンが論じたように、好きすぎてそのものになってしまうのかもしれないです。記憶は常にねつ造され続けます。

人生=映画であり、
映画=夢である。つまり、
人生=夢という、素敵な三段論法に愛を込めて。

ライブのハイライト場面の動画を後ほどこちらにアップしますので、よろしかったらぜひフォローして下さいね。

The Lost Sweets Instagram
https://www.instagram.com/the_lost_sweets?igsh=MWxlM3Zkcm10NTV1aQ%3D%3D&utm_source=qr

【The Lost Sweetsとは】
本、映画、気になる出来事、古今東西あらゆる素敵なカルチャーをリミックス、スウィングしながら皆さんと一緒に楽しく再読してゆくデュオ🍫

次回、The Lost Sweetsの企画は…

2/27(火)関内Ben Tenuto

“The Music About Elizabeth Taylor On Her Birthday”

女優、エリザベス・テイラー特集です。
この日は彼女の誕生日であり、偶然にも私の誕生日でもあります。

Françoise Sagan Met Billie Holidayを終えて

昨晩、関内Ben TenutoにてThe Lost Sweets🍫による企画ライブ、“Françoise Sagan Met Billie Holiday /フランソワーズ・サガンはビリー・ホリデイに会いに行った” 開催❣️

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブ、プログラム付きでお届けしました✨

オーディエンスの皆さまから素敵な反応を多数いただき、嬉しい気持ちでいっぱいです。お花、チョコレート、お弁当、サガンの著作!と差し入れもたくさん、ありがとうございました💐

ビリー・ホリデイの印象的な絵が店内を彩っているベンテヌートさんでこの企画をやらせていただけたことが光栄でした。

終わってみて思うことは、ビリー・ホリデイが彼女自身の出自のブルーやスキャンダラスな側面を抱えていたことは確かに否めないけれども、それに加えて、破天荒で、面白くて、刺激的なことが好きで、したたかなところもあったりして、でも純粋で、恋に生きた、そして何よりセンスのカタマリで歌が素晴らしい、女性であり歌手であったんだなと。

この描写はそっくりそのまま、全く同じフレーズで、フランソワーズ・サガンのことも描写できるかなと思います。二人ともあんなに有名なのに亡くなるときは無一文だったとか。恋仲になった相手は数知れず。二人とも酷いアルコールと薬物依存症で。でも生きている間はセンスでなんとか乗り切っちゃう、みたいな。

ものすごい才能を持って人生を駆け抜けた愛すべき二人の先駆者に感謝と敬意を。

今後The Lost Sweetsの企画ライブは、

1/31(水)自由が丘hyphen

ソフィア・コッポラ監督の映画音楽特集

2/27(火)関内Ben Tenuto

女優エリザベス・テイラー特集(私の誕生日にもあたります)

と続きます🍫

両ライブともに昨日と同じ構成で、

1st 19:30 DJ 

2nd 20:00 PIANO SOLO 

3rd 20:50 VOCAL LIVE 

予約 ¥3,000

当日 ¥3,500

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブあり、プログラム付き 

🎧🎹🎙📕

となっております。毎回相当な熱量を持って臨んでいる企画ですので、ぜひご予約はお早めに✨

<余談>

ヒョウ柄のコートはヒョウ柄好きのサガンのコスプレでしたが、撮って貰った写真を見ると、コートを来たまま仁王立ちで歌う私がOASISのリアムみたいだな、と思いました😆(OASIS最高)

The Lost Sweets 開始宣言

English text below ↓

もう10日も経つのですね、あらためて10/18に赤坂dot & blueで開催した、トレヴェニアンの自伝的小説『パールストリートのクレイジー女たち』にインスパイアされたライブ、
Music From the book
“The Crazyladies of Pearl Street”
By Trevanian

にお越し下さった皆さま、ありがとうございました!

愛する小説への想いを込めて、DJ、解説、ピアノソロ、ジャズボーカルライブを掛け合わせたイベント。ご縁あって『パールストリートのクレイジー女たち』翻訳者の江國香織さんにも開催のご許可をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

一風変わった企画に乗って下さった粋なお客様たち、本当にありがとうございました!大変有り難いことにご好評をいただきまして、とても励みになります。

そして、この投稿をもってアナウンスさせていただきます。

浅川太平さんとはこの企画から遡ると、文学や映画にインスパイアされたイベントを今までに3回ほど開催してきましたが、これからはユニットとして活動していくことになりました!

ユニット名は、

“The Lost Sweets“

言語とは、引用、引用、引用のシステムに他ならないのです!と、ホルへ・ルイス・ボルヘスが言ったとか。

マルセル・プルースト『失われた時を求めて』第一篇では、語り手が紅茶に浸したプティ・マドレーヌを齧ったとき、過去の記憶と感覚が全てありありと甦ってくる。複雑な構文と多くの隠喩。メタファーだけが呼び起こすことのできる何か。

かと言って私たちは全く懐古趣味ではない。未来志向でもない。私たちが生きるのは今この瞬間。現在に生きる私たちが、とある時間軸に表出したとある作品を、どう読むことができるのか、それを皆さんと一緒に音楽を通して楽しんでゆきたいと考えています。

テクストは読まれる為にそこに存在する、いえ、読まれることによって初めて存在できる。読まれることによってテクストは創造され、解体され、再構築され、完成され、また解体され、それは半永久的に続いてゆく。そしてどう読むかは個々人に委ねられたとてつもない自由であり、悦びであります。

本の中は危険がいっぱい。良い子に本など読ませてはいけません。再びやってきた狂騒の20年代に寄せて。

Instagramのアカウントも新設しましたので、映画、文学、音楽好きの悪い子の皆さまにおかれましては、ぜひフォローよろしくお願いします!今までの活動をアーカイブしております。

https://instagram.com/the_lost_sweets?igshid=YTQwZjQ0NmI0OA%3D%3D&utm_source=q

I’m happy to announce that we created a new duo “The Lost Sweets”. We remix any lovely cultures from any times and places, then reread them happily together with you through music. Follow us on Instagram above!

ソフィア・コッポラ監督の映画音楽の世界を経て

あらためて、9/26関内Ben Tenutoでのライブにお越し下さった皆さまありがとうございました!

ソフィア・コッポラ監督の映画音楽を再解釈、再構築するというコンセプチュアルな試みで、DJセット、ピアノソロ、ボーカルライブの3部構成、この日の為に書いたプログラム付きでお届けしました。

私はジャズを歌ったり、別名義でポップスの曲を書いたり、ラップしてみたり、DJをしたり、文章を書いてみたり、周りからは色々なことをしているように見ていただくことも多いのですが、私自身の感覚としてはひとつのことをそれぞれ別の角度から表出させているだけなのです。

可愛くて、優しくて、グルーヴィーで、しなやかな世界。メランコリーと、悲劇を喜劇に変える錬金術の両立。

今回はLilla Flickaというアバンギャルドなペルソナすら必要とせず、全てが自然とひとつのイベントの中に収まりました。2回目のコロナ罹患からの病み上がり、いえ、罹患中から準備を始めましたが、体調の悪さを忘れさせてくれる豊かな時間でした。ライブ当日までに歌える体に戻っていったこと、支えて下さった皆さま、音楽のカミサマの采配に感謝です。今だから告白しますが、本当にギリギリでした(笑)

このイベントを開催させて下さったBen Tenutoさん、企画段階から携わって下さった浅川太平P(PはピアノのPそしてプロデューサーのP)、そして素晴らしき才能、ガーリーカルチャーというものを世に知らしめたソフィア・コッポラ監督に最上級の敬意と感謝を。エルヴィス・プレスリーの元妻を描いたという新作”Priscilla”も楽しみです。

いろいろな意味で夢のようだったソフィア・コッポラの映画音楽の世界はここでひと区切り。この企画ライブとは双子のまた別の企画ライブは10/18(水)赤坂dot&blueにて。

江國香織さんの名訳で日本でも広く知られることとなった作家、トレヴェニアンの自伝的小説をテーマにしています。こちらのライブは、ほぼジャズスタンダードのみでお届けすることになると思います。だって小説の中に収まりきらないほどのジャズが溢れているのだもの!

リアルタイムに流れていたガーシュウィン、ハート&ロジャース、コール・ポーター、ホーギー・カーマイケル…

スタンダードジャズファンの皆さまはお読みになられたら、その豊かさに驚かれると思います。

話をソフィア・コッポラ監督の映画音楽の方に戻して…各種SNSに少しずつアップしていた今回のイベントの動画やプログラムの文章を以下に纏めました。未見の方はぜひご覧いただけたら嬉しいです!

DJ set①

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02ptLJx1mN22sUKwX9acnQb6JHuwX28DhVveBNpGfW492EQ8zhEoUSgFYEe4uVs3ZCl&id=100003921013469

DJ set②

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0FhcfsRDVs3CpECEenEYcF3usPMjjF9gGCHVBfcczynjW2UXyXYN9NN3TauraJeMHl&id=100003921013469

DJ set③

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0egCQrNVVq7zdo2RXGK6kgauaPP2W9F4tLQkpao43Sx9QxwxUWmeucnCsVwwFTmwul&id=100003921013469

Piano solo

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0HrLHbdV2DvYaQN7Ru4vGU9htFQWTboMfZzwRAdvRn2nYscx6Y9cc6V8ZbsWEyJY2l&id=100003921013469

Vocal live 

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02zETDC4GcSn6cwLsM19RoC86nJvxSYh2QF5jfuMuyQjS1khe1QTVDLHWt3vrXR5Pjl&id=100003921013469

【Piano Soloプログラム全曲解説】

< >の中は楽曲が使用された映画と登場時間

K. 213 (Sonata in D Minor) – Domenico Scarlatti

<Marie Antoinette 1:36:38>

このニ短調のソナタはマリー・アントワネットが憂鬱と退屈を持て余す場面で静かに奏でられる。曲が終わる頃には恋人のことを思い出して勝手に幸せな気持ちになり始めるというキュートな一面も。スカルラッティは1685生まれのイタリア出身の作曲家。音楽史上ではバロック期の音楽家であるとされているが、クラシック音楽の進化、発展に大きく貢献した。実際にヴェルサイユ宮殿の中でマリー・アントワネットが好んで聴いたり弾いたりしていたとされている。たった14歳の少女は政治的な理由から母マリア・テレジアの命により、フランス宮廷に嫁ぐことになる。世継ぎを産まなければならないという圧力、愛の不在、夫との友情、愛人、統治、権力闘争、噂話、孤独。そして彼女には(一時的には)湯水のごとく使えるお金があった。音楽は貴族の手習いであり、教養であり、暇つぶしであり、慰めであった。マリー・アントワネット自身もチェンバロやを歌を習い、貴族たちの前で披露することもあった。「やりすぎとか、使いすぎとか、そんなことってあるのかしら?」

The Air That I Breathe – The Hollies

<Virgin Suicides 0:16:16>

映画ヴァージン・スーサイズの物語は五女のセシリアが自殺未遂をするところから始まる。精神科医に、もっと娘たちに自由を与え、同世代の男の子たちと交流させるべきだと言われた母親は、これまでやったことのなかった最初で最後のホームパーティーを開催する。姉たちはセシリアの手首の傷をおもちゃみたいなたくさんのブレスレットをテープでとめて隠してあげる。パーティーで楽しそうにしている他の姉妹たちを尻目に、セシリアはずっと不満そう。もう自分の部屋に戻っていい?と母親に。母が許可を出した直後、今度は彼女は自殺に成功する。「煙草も、睡眠も、光も、音楽も、食べものも、本も、もう何もいらない。必要なのは君と愛を育むこと、そして呼吸するための空気だけ」

Aura Lee (Love Me Tender)

<The Beguilded 0:31:40>

アメリカ南北戦争の頃に誕生したとされるアメリカの大衆歌謡曲。舞台は南北戦争中、南部にある女性だけで運営している寄宿学校。女生徒が森の中で深く傷ついた北部の兵士を見つけ、見殺しにできず連れて帰って来る。最初は恐る恐る兵士の世話をしていた面々だが、唯一の男性の存在に少しずつぞれぞれの登場人物に変化が…、という場面で、女生徒のひとりがこの曲を口ずさむ。エルヴィス・プレスリーの”Love Me Tender”の原曲。”Aura Lee”とは、オーロラの光という意味。兵隊たちが故郷の恋人を想って歌ったとされる。「春が来て、ヤナギの上にはブラックバードがオーラリーを歌う。オーラリー、黄金の髪の少女、木々、太陽、飛び交うツバメ」

1 thing – Amerie

<Somewhere 0:13:14>

映画冒頭の15分でハリウッド映画のスター、ジョニー・マルコの生活が、たとえ華やかに見えたとしても、中身は空虚なものであろうことが淡々と描かれていく。15分の間に2回ポールダンサーたちをひとりで暮らしているホテルに呼び寄せる。2回目の音楽はこちらの 1 Thing、ドラムパターンが耳に残る2005年の世界的な大ヒットナンバー。ほぼフルレングスで流れる曲とダンサーたちの美しさが彼の生活の虚しさを際立たせる。アルコールと鎮痛剤。普段は別れた妻と暮らしている11歳の娘のクレオがやって来る直前の出来事。リズムオリエンティッドな名曲をあえて鍵盤のみで演奏するという意欲的な試み。「あれだけが私をトリップさせるの」

Smoke Gets In Your Eyes – Bryan Ferry

<Somewhere Ending>

本作のエンドロールのいちばん最後で流れるのがこの曲。11歳の娘クレオが去った後に初めて感情の揺れを見せるジョニー。元妻に電話をかけて、自分はどうしたらよいのか、自分は何者でもないと泣く。そばに来て欲しいと頼むが、それはできないと断られてしまう。でもあなたは大丈夫よ、と言う元妻。場面は変わってジョニーは慣れない自炊に挑戦、パスタを茹ですぎてしまう(きっと味も美味しくない)。住み慣れたホテルをチェックアウトし、フェラーリを飛ばして郊外へ。その後フェラーリも乗り捨て、歩き出した。「皆訊くんだよね、どうして僕の愛が本物だとわかるのかって。だから答えたよ、心の中に何か否定できないものがあるんだって。彼らはさらに言う、愛の火から立ち昇る煙で盲目になっているのだと。僕は笑った、この愛を疑うことができるなんて!でも今日僕の愛は去ってしまって、今度は皆が僕の涙を笑う番。だから笑顔を作って、消えた炎から立ち昂る煙が目にしみるんだよ、って言ったんだ」

【Vocal setプログラム全曲解説】

< >の中は楽曲が使用された映画と登場時間

I’m Not In Love -10cc

<Virgin Suicides 0:57:30>

歌詞では自分は恋なんかしていないと何度も繰り返しながら、恋の感覚に満ち満ちた曲。厳格な母親をなんとか説得して学園祭のダンスパーティーに行けることになった四姉妹(末っ子は既に自死した後の場面)。投票でベストカップルに選ばれたラックスとトリップを筆頭に、パーティー会場の陰でこっそりピーチリカーの瓶を回し飲みしたり、キスしたり。たくさんの弦楽器と効果音の層が重なりとてつもなく美しく響く原曲のフィーリングをリハーモナイズ(和音の響きを変えること)によって再解釈し、再構築を試みる。

So Far Away – Carole King

<Virgin Suicides 1:19:19>

末の娘の自殺、そして四女のラックスの朝帰りで気がおかしくなった母は、娘たちを家に閉じ込めて、学校に通うことさえ禁止する。そんな中、四姉妹を慕う男の子たちは、なんとか彼女たちとコミュニケーションを取ろうとする。通常の電話は取り次いで貰えない。そこで電話をかけて、何を喋らずレコードをかけ、メッセージを送る。電話ごしに姉妹から返ってきた曲は、”So Far Away”。「あなたはとても遠いところにいる。ずっと同じ場所にいられる人なんているのかしら?もしあなたが私の部屋のまえに来てくれたら、どんなに素敵なことでしょう。でもあなたはとっても遠いところにいる。そしてそれを知ることは、なんの助けにもならない」

Alone Again (Naturally)

<Virgin Suicides 1:18:36>

こちらも四姉妹と男の子たちがレコードをかけあってコミュニケーションを図ろうとしていた場面で。「もう少し経って、そのときに気分が少しでもよくなっていなかったらね、私は自分と約束したの、近くの塔を訪れるって。てっぺんに登って、そこから身を投げる。自分が取り残されて、ぼろぼろになっている感覚ってわかるかしら」絶望的な歌詞とは裏腹に、Gilbert O’Sullivanは明るくリズミカルに歌い上げる。

Teddy Bear

<Somewhere 1:03:53>

イタリアのテレビ番組でのひと仕事を終え疲労困憊、娘のクレオと一緒にロサンゼルスのホテルに戻ってきたジョニー。そこでホテルスタッフのロムロが1曲歌いましょうか?と声をかけてくる。ロムロが歌うのがこの曲はエルヴィス・プレスリーのヒットナンバー。優しい歌を親子が穏やかに聴く様子は本作の中でもいちばんスウィートな場面のひとつ。「ベイビー、僕を君のテディベアにして。紐をつけてどこにでも連れていって、髪を指に滑らせて、ぎゅうって抱きしめて、毎晩一緒だよ」

Magic Man – Heart

<Virgin Suicides 0:35:56>

四女のラックスと恋仲になるフィリップの登場シーンで。彼が歩くと学園じゅうの女の子たちが振り返る。遅刻しても、校内でマリファナを吸っても(!)その魅力によって許されてしまう。彼はラックスに恋をする。ラックスもすれ違った全ての男性たちを虜にしてしまうような小悪魔的で性的な魅力に溢れていて、それを自覚してもいる。退屈しのぎに男の子たちにちょっかい出してみたり。最初はフィリップを冷たくあしらうラックスだったけれど…。十代の男女のひりひりするような危うい関係。「彼が言うの、僕のことをまだ愛さなくてもいいから、ハイになろうよ。でも私はもう夢中で、ママはとても心配してるけど、でも彼って魔法が使えるの。ねえわかって、わかって、わかって」

I Fall In Love Too Easily – Chet Baker

<On the rocks 00:51> 

映画の冒頭、ビル・マーレイが演じる父フェリックスが、娘ローラに言う。「結婚するまでは君は僕のものなんだからね。いや、結婚した後も僕のものだな」

いきなり場面が変わってローラの結婚式。夫に促されてウェディングドレスのまま式場を抜け出すローラ。ベールを付けたままプールに飛び込む。ここまでずっとチェット・ベイカーの歌う”I Fall In Love too Easily”がかかっている。「自分は簡単に恋に落ちてしまう。その速度は速すぎるし、深すぎる、恋が永遠に続くためには」

It might as well be spring – Bill Evans Trio

<On the rocks 1:02:10>

ローラが父親にパーティーに連れ出される場面はビル・エヴァンストリオの名演。父フェリックスが登場するときにはほぼジャズスタンダードが流れてくる。NYの街には本当にジャズがよく似合う。父を待って手持ち無沙汰になりソファに座ったローラは老婦人の話に付き合わされることになる。「結婚は預貯金のようなもの。きちんと貯めたぶんだけ、将来引き出すことができるようになる。長持ちの秘訣はコスチュームよ」

多摩センターWarp初出演を終えて

ただいま〜✨
本日、多摩センターWarp出演でした🌟
初めて伺いましたが、皆さん温かく、知的で面白い方ばかり。素敵な空間でした❣️私の宇宙トークにもお付き合いくださりありがとうございます…🪐

私は西洋占星術師のマドモアゼル愛先生のファンなのですが、愛先生がYouTube動画の中でおっしゃっていました。この世でいちばん尊いのは歌なのだと。そして歌で大切なのは言葉なのだと。神を前にしたとき、物など到底何の役にも立たない。神への貢物としていちばん尊いのは歌なのだと。まごころからの歌がいちばんの贈りものだそうです。

セッションタイムの皆さんの歌と演奏を拝聴して、愛先生の言葉を思い出していました。神性はあらゆる場所に、誰しもに宿る。全ての歌が、常にギフトです。素晴らしい体験をさせてくださりありがとうございました。

壁一面の本棚には垂涎ものの興味深い本がずらり。私設図書館も兼ねているそうです。何て素敵な空間✨近所に住んでいたら通ってます。

名残惜しく帰ってまいりました。ぜひまた伺えますように🙏

双子アルバム『Anything Blue』と『通過儀礼』

あらためて、Lilla Flicka & 新音楽制作工房名義の1stアルバム『通過儀礼/Initiation』のリリースパーティーにお越し下さった皆さまありがとうございました🌈💟✨

しばらく燃え尽きてました…

そして復活❣️

菊地成孔さん、sekiちゃん、Satōちゃん、DJアクトの皆さん凄かった、、、Lilla Flickaのアクトで共演してくれたdjaponさん、凄腕ラッパーのDTchainsawさん、素晴らしかった。感謝です。

ジャズを歌っていることによってお知り合いになれた方々もお越し下さって。あの素敵なジャズシンガーさんまで✨感激でした🥺💖

アルバム『通過儀礼/Initiation』は来年1月の全国流通に先行して、ここで販売してます🌟

https://kogumasound.base.shop/

菊地成孔さん率いる音楽制作ギルド「新音楽制作工房」のプロデュースのもと、2020年代における極上のポップスを生み出すべく!1年以上かけて、全てを込めて、丁寧に作りました。

過去、現在、未来におけるポップスの良いところ取りの全12曲。R&B、hiphop、ネオソウル、シューゲイザー、JAZZ、テクノ、現代音楽、ロック、オルタナ…

日本語と英語をベースに、スウェーデン語とポルトガル語の楽曲も。アンファンテリブル達の恐ろしいほどの才能の応酬。もうこれ以上はないという極上J-POPの最前線です。

種明かしをすると、Lilla Flicka名義のこのアルバム『通過儀礼/Initiation』は、加藤咲希名義のデビューアルバム『Anything Blue』との双子アルバムなんです。

加藤咲希とLilla Flickaがふたりでひとつなのと同じように、『Anything Blue』と『通過儀礼』もふたつでひとつ。

クラウドファンディングによる皆さまの応援でデビューアルバムが作れることになったとき、私は師匠の菊地成孔さんに相談しました。元は『Anyhting Blue』の内容は、私の今までの音楽的なルーツを年代ごとに分け、100年間の各ディケイドから1曲選んで、ジャズアレンジを施す、という、もっともっとマッシヴかつジャズとポップスが混ざった内容になる予定だったのです。それに対する菊地さんのアドヴァイスは、とてもよいと思うけれど、でもジャズサイドとポップサイドを分けてふたつ作ってもみてもいいんじゃないかな?というものでした。それを聞いて、とてもしっくりきて、ほんとうにそのとおりだと思いました。ミクスチャーは美しいけれど、いつでも何でも全部混ぜなくてもよいですよね。

私は夢見る(そして常に死と隣接している)魚座なのですが、人生に双子座が溢れているのでした。大切なものは必ずふたつある。日本語と英語、音楽と文学、日本とスウェーデン、ジャズとポップス。師匠の菊地成孔さんも『Anything Blue』のプロデューサーであり『通過儀礼/Initiation』の原案協力者でもあるトオイダイスケさんも双子座です。

そしてまず『Anything Blue』ができ上がりました。去年の夏です。このアルバムに対する想いは去年たくさん書いたので割愛しますが、『Anything Blue』のツアーをひととおり終えると、今度は『通過儀礼/Initiation』の制作に本格的に乗り出しました。

比較論になりますが、ジャズという音楽は、レコーディングのときまでに、それぞれの音楽家がどこまで何を積み上げてきたか、そしてその瞬間に何の発露があるのか、どういった環境や機材で録音するのか、というところに焦点を置く場合が多いと思います。

ポップスの場合は『Pet Sounds』の制作におけるブライアン・ウィルソンしかり、スタジオに籠もって(現代においては自室に籠もってDAW=デジタルオーディオワークステーションで)試行錯誤する作業時間が、レコーディング時間の何倍も必要な場合が多いです。『通過儀礼/initiation』の制作過程もまさしくその過程を辿りました。

しかも今回は12人のビートメイカーさんに1人1曲、制作を依頼したわけですから、そのやりとりの量は、結果として、気が遠くなるほどの膨大なものとなりました。皆さん根気強く付き合ってくださいました。

ほとんどの曲は私が作詞しましたが、他の方が歌詞をつけてくれた曲が3曲あります。素晴らしい歌詞を書いてくれた林太一さん(パンとサーカス)、Kristofer Laiosさん、花守コウさん。

全体を見通しての方向づけとコーラスアレンジをしてくださったのはジャズピアニストの浅川太平さんです。

アニメーションによる2本のMVとアルバムのアートワークはヤシマロパさん。アルバムはグッズとして持っていて楽しい、素敵な作品に仕上げてくださいました。ブックレットをめくると、一曲、一曲に対してアートワークがあり、対訳があります。

最新の宇宙人MVは影丘道さんの作品。もの凄いクオリティで、まさか監督とヘアメイクちゃんと私の3人だけで作ったなんて誰も気づくまい…。

たくさんの方々のご尽力によってこのアルバムができました。

制作に関わってくださった方、全員が恐ろしいほどの才能と個性を持っていました。

(余談ですが、菊地成孔さん、浅川太平さん、トオイダイスケさんは似ています。作風とパーソナリティーは全く違って三者三様ですが、全員異常に頭の回転が速く、直感に優れ、もの凄く判断が早く、そしてその判断は常に正しい。私は天才たちの文字どおり天賦の才を、尊敬し、畏怖し、感謝するばかりです。)

私は恋をするように、そして小説を書くようにしか音楽ができないので、出来上がったのは12篇の恋愛綺譚。

この一年、ずーっとこのアルバムを作っていました。冬、春、夏、秋。そしてまた冬がやってきました。途中コロナに罹患して、後遺症で思うように歌えず、一度レコーディングが止まりました。それでもボイトレに通い、体の治療を受け、何とか歌えるくらいまでに回復。エンジニアの向啓介さんが何とか録ってくれました。そのエンジニアさんもコロナになりました。罹患中も遠隔でミキシングしてくれました。あのとき歌録りし、ミックスした曲にはギリギリの美しさがあります。必ずしも、肉体が健康だからよい音楽ができるわけではない。

繰り返しますが、この一年、このアルバム制作と、Saki Kato Sings Woody Allenの準備のみ(つまり『Sweet & Lowdown』の準備のみ)、してきました。たくさんのライブブッキングのご依頼を断ってしまいました。友人にも家族にも会いに行けていない。ほんとうに他のことをする余裕がなかったんです。秋になって制作がいよいよ佳境に入り、配信も開始すると(今はお休みをいただいてますが)、一日二食を摂る時間もなくなり、1ヶ月で5キロ痩せました。(ダイエットしているときは全く痩せなかったのに。カミサマは酷なものです)でも、とにかくこのアルバムは今出しておかないといけなかった。

だって『Anthing Blue』はもう出てしまっているのだから。始めたことは終わらせないといけない。

(ん?夏にスウェーデンとトルコに行ってたじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あれは自分のLilla Flickaとしてのアイデンティティを確かめる為に、そして喪失を得る為に、行かざるを得なかったので、もはや仕事の、というかアルバム制作の一部との認識です)

紋切り型の言い回しにはなりますが、捨て曲なし、とはこのことです。12曲全曲シングルカットできます。どの曲をシングルカットしたとしても、同じくらい売れたと思います。実際に6曲はシングルカットしましたが、もうアルバムが出てしまうので、全曲シングルカットはできず。というか、ほんとうに全曲シングルカットしたら、アルバム発売という概念が崩壊してしまうのでできず。とにかく聴いていただきたいです。

この音楽が必要な方のところに届きますように。音楽という錬金術を通して私の憂鬱が官能に、絶望が歓喜に生まれ変わったように、貴方の憂鬱が官能に、絶望が歓喜に生まれ変わりますように。

【💠エピローグ💠】

現実の出来事は、ある時代が終わって、次の瞬間から、すぐに次の時代が始まる、ということは少ないです。何でもモーフィングしてゆく、グラデーションなんです。徐々に変化して、いつの間にやら入れ替わっている。何かが終わる前には、既に何かが始まっていたりする。

短い間に、『Anything Blue』、『Sweet & Lowdown』、『通過儀礼/Initiation』

3枚のアルバムを出しましたが、整理すると、内実はこうです。

『Anything Blue』と『通過儀礼/Initiation』が双子アルバム、ふたつでひとつ。私のデビューアルバム2枚組です。コロナ騒動とともに始まったクラウドファンディングから約3年。3年かけてのデビューがもうすぐ完了します。

『Sweet & Lowdown』は新世界の始まり。実質上のセカンドアルバムです。

全部おすすめです。私の過去は貴方の未来、貴方の過去は私の未来だから。集合無意識下で全ては繋がっているのだと、ユング派の私は思います。だから自分のことを突き詰める。どんどん下りて、もしくは上がっていった結果、初めてそこで貴方と、世界と、繋がることができる。私はとても孤独だから、寂しくて、貴方と繋がりたくて、この作品たちを作りました。

新世界『Sweet & Lowdown』関連のライブが12/18に多摩センターでありますが、長くなってしまったので詳細はまた後ほど!

最後に、新音楽制作工房19人中『通過儀礼/Initiation』の制作に携わってくれた12人のお名前を記載したいと思います。これから世界で活躍するべき/既にしているアンファンテリブルたちです。

<伊藤佑輔/Keysa>

作詞作曲歌唱朗読たまにラップをこなす音楽家。特技は鏡文字を書くのが早いこと。

<seki>

トラックメイカー。

<高橋大地>

深夜に活動し、USビルボードチャートのTV番組を毎週欠かさず礼拝するビート提供者。得意分野は野太い低音で殴りつけるヒップホップ系。

(NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』/映画『北新宿2055』/ペペ・トルメント・アスカラールに共作曲など)

<川又僖矩>

明るいビートメイカー。

<田島浩一郎>

自称音楽家・トラック製造業。

<花守コウ>

2010年より電子音楽の楽曲制作、ライブを行う。

エレクトロニカ、テクノ、ハウスとジャンルを越境して様々なクラブイベントに参加。

ラップトップのライブに特化したイベントの副主宰、楽曲提供等、活動の幅を広げている。

<Satō>

ビートメイカー。

<OGAWA SEIJI>

コンポーザー。

<DTchainsaw>

DJ EIJI,Mummy-D(ライムスター)や菊地成孔主催イベント等へ出演。キャリア26年。ビートにスティッキーに絡む独自のリズム解釈は世界レベルでも類を見ない。唯一無二のスキルを持つリリシスト。

<djapon/ぢゃぽん>

 鹿児島生まれのブラジル帰り。サブカル拗らせ中年センチメンタリスト。「村上主義者」が高じてスワローズファン。菊地成孔スクーラーのDJ &トラックメイカー。

<上野山純平>

作曲家、トラックメイカー。

オーニソロジー、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない」に楽曲提供。

Saki Kato Sings Woody Allen 終幕

あらためて、昨晩のJZ Bratでの公演、

“Saki Kato Sings Woody Allen”にご来場くださった粋な皆さま、ありがとうございました。

スタンドアップコメディアンでもあるウディ・アレンの影響を無意識にでも受けているのでしょうか、笑いの絶えないステージとなりました。

素晴らしいメンバーの皆さま、クラリネットの谷口英治さん、どうしたら一瞬で人をとろけさせるような、あんなに美しい音色を奏でることができるのでしょうか。浅利史花さんのまっすぐで温かで優しいギター。大塚義将さんのチアフルでグルーヴィーなベースにぐいぐいと引っ張っていただきました。

そして企画段階から全曲のアレンジまで担って下さった浅川太平P、ご自身のリーダー作は言わずもがなシンガーのプロデュースの手腕も素晴らしいことは存じ上げておりましたが、私も別世界への扉を開いていただきました。

穏やかにハードスウィンガーな皆さまのおかげで成り立った特別な一夜でした。

ご好評をいただき、一晩だけではもったいないと、再演をご希望下さるお客様も。ありがたきしあわせであります。

ウディ・アレン監督の名作のひとつ、邦題『ギター弾きの恋』、原題 ”Sweet & Lowdown” にインスパイアされて、CDもカクテルもご用意いたしました。ご賞味いただけましたでしょうか。

Sweetな出来事もLowdownな出来事も、美しい喜劇に仕立て上げてしまう、我らがウディ・アレン監督に、あらためて敬意と感謝を込めて。

自由が丘ハイフン出演を終えて

自由が丘ハイフンでの浅利史花さんとの初共演、おかげさまで賑々しく楽しくやらせていただきました❤️
優しくスウィンギーな浅利さんのギター、素晴らしかったです!
フルート/オカリナ奏者の西村菜美さんがシットインしてくれて感激でした✨
お運びくださった皆さまありがとうございました😌

浅利さんとはまた11/29(火)の渋谷JZ Bratで共演します♫ こちらも楽しみです❣️
ご予約はこちらからどうぞ❤︎
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02m4f59psii21.html

Veleraありがとうございました!

昨晩は赤坂Veleraに初出演でした。10ヶ月ぶりの東京出演にお運びくださった皆さま、ほんとうにありがとうございました。素晴らしい音環境の中で歌わせていただき光栄でした。花束も差し入れもありがとうございました。とても嬉しかったです。

関内VENUS出演を終えて

あらためて、関内VENUSへお越しくださった皆さま、ありがとうございました🌸🌠

大好きな裕美ママの想いがたくさん詰まったお店、私もピアノの浅川太平さんも初出演でしたが、温かく迎えていただきました😌

久しぶりにお会いできた方多数❣️
とーっても嬉しかったです。やっぱりジャズの現場がだいすきです💖

夏以降、本格的に戻って来れるかな。

次回VENUS出演は、8/5(金)に決まりました✨
真夏ですね。今から予定しておいてね?

まだあと数ヶ月は、お友達でシンガーソングライターのLilla Flickaさんの新作アルバム制作のお手伝いをしている予定😁

私と同じ時期にコロナにかかって、制作期間が延び延びになっちゃったらしいですよー💦

2人とも応援してもらえたら嬉しいです🧡💕

あ、たまにしかお知らせしないけど、Lilla Flickaさんだけじゃなくて、私もTwitterやってるんですよー😃

https://twitter.com/Saki_Kato_Sings

たぶん日常生活には役立たない方向に可愛くないほどロジカルで、かつそのロジックは飛躍し、破綻しているはず。ここではほんとうのことが書いてあった方が面白いかなって、思っちゃうんだよねえ。