続・手術後記

たくさんのお見舞いと励ましのお言葉をありがとうございます!

退院して1週間が経ち、昨日は通院日でした。手術箇所に血だまりもなく、傷口は順調に塞がってきているとのこと。少しずつ可動域も広がってきていますし、鎮痛剤を飲まないで済む時間も増えてきています。くるっと寝返りを打つまではいかないけど、寝る向きを変えたり、靴下を履いたりは、できるようになりました。簡単な家事もできます。やはり来週までには歌手としてステージに立てるくらいには回復できそうです!

血液検査もしたのですが、1週間ちょっとでヘモグロビンの数値が5も回復し、急性の貧血状態から、女性の平均値よりも値が高いくらいになりました!ヘモグロビンの超回復、こんなことあるんですか!?とドクターに聞いたら、いやーあるんですねー、と不思議そうに笑っていました。ヘモグロビンの数値って、毎日鉄剤を飲んだとしても、1上げるのに1ヶ月くらいかかるって聞いていたのですが…どういうこと!?入院中に輸血しても一回の輸血で0.5ずつくらいしか上がらなかったのに…。日々アサイードリンクやら牛肉やらを運んでくれた家族と、私の体の中をいつも整えて下さっているオルタナティヴメディスン、ボディワークの先生のおかげだと思います。何事にも天才はいるのです。確かに、3日くらい前から貧血頭痛がしなくなってきてはいました。

いろいろと発見したこと。野菜を切るのにも結構な腹筋を使っていたこと。ベッドから起き上がるのにもかなりお腹の力が必要だということ。近所にお買い物や食事に行って帰ってきてもそんなに消耗しないのですが、冬瓜を切ったりピーラーで剥くだけでめちゃくちゃ疲れたこと(ウリ科の硬さおそるべし!)。冬瓜で懲りたので、まだカボチャには手を出せず(笑)交感神経が優位になりがちで眠るのが苦手だった私が毎日すぐ眠くなってしまうこと。

さらに人生初の手術日のことを振り返ってみます。

術後、手術室から病室に運ばれてきた私は全身麻酔から少しずつ意識が戻ってきたところ。これは初めて知ったことですが、全身麻酔後、もう意識が戻ってきていても、まだ目を開けることも体を動かすこともできない状態というのがあるのです。意識だけが復活した状態で私が聞いた言葉。「先生、出血が止まらないんです」

まだ目も開けられず、喋ることもできない、耳から聞こえる情報は認識できる。ああ、私は今出血が止まらない状態なのかと、ぼんやり思う。バタバタと道具を持ってきたナースに針の形やサイズが違う、と怒るドクター。その直後、おへそに激痛が走る。出血箇所を縫い出した模様。私はここでか細いながらもなんとか声を出すことができるようになる。「痛い、痛いです…」部分麻酔を追加。続く激痛。なんとか縫い終え、出血も止まったらしい。人生の中で頂点の痛み体験でした。

後からもっと意識がしっかりした後に聞いたドクターとナースの話を総合するに、手術が無事に終わり、止血できたことも確認し、私が病室へ運ばれた後に、おへその部分からの出血が急に始まり止まらなくなったとのこと。腹腔鏡手術では、おへそから炭酸ガスを入れてお腹を膨らませて手術をし易くしたり、内視鏡を入れて腹腔の状態をモニターに映したりします。なのでもちろん切開の傷口はあるのですが、そこからの出血が急に再開し、なかなか止まらなかったとのこと。移動やいろんな管を抜き差しする中で、術後に急に血圧が上がったりして再度出血することはたまにあるそうです。

確かに既にかなり出血してきている中で、私自身は激痛を味わうことになったとしても、失う血の量をできるだけ少なくする為には、できるだけ速く処置しないといけない。何らかの連絡ミスで医師の意図とは違う針が届いてしまったけど、また取りに行く数分を待つよりは、今ある道具でそのまま縫う方がよかったのだろうと思います。別の針でも痛みの具合はさほど変わらなかったのかもしれないし、とにかく血を止めることが先決で、部分麻酔が完全に効くまで待つほどの時間も出血量を考えるとなかったのかもしれない。

それから、手術直後のあの感覚。術後の腹部の痛み、慣れないカテーテルの心地悪さ、体が揺れて地震かと思うほどの貧血による動悸(でも実際に震度2くらいの地震もあったみたいで余計に混乱)、酸素マスクの苦しさ(測ると酸素飽和度は高いのになぜか私は苦しい苦しいと訴え続けていた)膝下に装着された血栓症を防ぐ為のマッサージ器が蠢き続ける不快な感覚と音。中枢性鎮痛剤のペンタゾシンを点滴に注入してもらうまでは本当に辛かった。ペンタゾシンによって、うとうとして半分夢の世界に意識を飛ばすことができると急に楽になる。ずっとペンタゾシンの影響下にいたかったけれど、21時くらいに効果が切れてくる。ナースいわく「このお薬は使いすぎると呼吸が弱くなってしまったりして副作用がこわいので、次に注入できるのは0時です」。がーん、あと3時間は私の意識はひとりでここにいるのか…。

このとき体がほとんど動かせない私が考えていたことは、私の意識はいつもと同じでいろいろなことを考えることができる。でも体が動かせなければ、喋ることさえままならなければ、指さえ動かせることができなければ、私の意識を外部に伝えることもできない。いや、いつもと同じ意識と思っていても、かなりの部分が痛みに捉われてしまって、深い思考はできなくなっているのかもしれない。私の意識は私の弱った肉体に閉じ込められている。いつまで私はこの状態に閉じ込められたままなのであろうか。ナースは、順調にいけば、段階的に管や器具を外して、明日にはカテーテルを外して、自分で歩くこともできるようになると言う。ではこの身体感覚に耐えないといけないのはあと十数時間で、そんなに長くは続かないはず…。はたしてこの十数時間は、体感的に、今までの人生の中で、いちばん長い十数時間でした。

肉体でなくて意識が私の本体なのであれば、意識にとってこれは長く耐えられることではないと思いました。そして、これは全くネガティヴな意味でなくて、ポジティヴな意味で、と前置きしますが、尊厳死、安楽死、もしくは自死やそれに値するもの。全てを一緒くたにしてはなりませんが、これらに共通する、自分で自分の肉体を消失させるという行為に至らざるを得ないほど辛い身体の状態が人に訪れることもあるのだ、ということを垣間見ました。

私は現時点では特定の宗教を信仰していませんが、なんとなく魂のようなものは存在して、生まれ変わりもあるのではないかしら、という世界観で生きています。自らの肉体が消えることがその人にとっては魂の解放になることもあるのかもしれない。そういう選択を取らざるを得なかった身近な人の行為を前よりは少しだけ理解できたような気がします。でもエゴイスティックな私には、今自分の周りにいる大切な人たちが、今後そういう選択肢を取らざるを得ない状況に追い込まれることがありませんように、と願ってしまう気持ちも多分にあるのですが。

初めての入院&手術に加えてこれほどの身体的な痛みと苦しみも初めてのことで、何もかもが初体験尽くしでした。ベッドから起き上がれた喜び、カテーテルが外れた後(無事翌日には外れました)歩けるようになった喜び、3日ぶりにシャワーを浴びたときの快感。自発呼吸ができて、歩行できて、食事が摂れる、もうこれでじゅうぶんだ、というプリミティヴな、生きていることそのものへの感謝。

私なりに生と死の狭間の体験をしたと思い、浮世に戻って来てみると、相変わらず大なり小なり人間同士の諍いが絶えなかったりする。特定の宗教を持たない私ですが、宗教のことを調べたり本で読んだりするのは好きです。仏教においては、苦しみの原因のひとつに無知無明があると言います。でも正しい智慧を育むことによって、苦しみを滅することができる。無知無明とは、ものごとが無常であることや正しい教えを知らない状態を指すそうです。無知無明は癡とも称され、仏教における三毒の中でも最も根本的な煩悩であります。

どんな立場の人であっても、思考を停止し、ものごとを自分の都合のよいように解釈し、真実を見ないようにすることは、やはり罪深いと思う。それで不当な扱いを受ける人がいる。何よりも自分の魂が穢れてしまう。

私自身、自分の中の、ものごとの歪んだ解釈や、自分への虚偽の申告に気づかなければいけない。そしてなぜ私はそういう認識に至らざるを得なかったのか?そこを考える。今まで傷ついてきた経験ゆえなのか、自分のよくないところを認められない弱さからなのか、楽な方向に流れてしまっていないか、利益欲しさに合理化していないか、面倒だからと適当に扱っていないか、未熟で頭の動きが鈍いせいなのか、愚かな自分を自覚することがおそろしいのか。

自分のよくないところを自覚したときに、過ぎた自己嫌悪や自傷に向かうのもナルシシズム。自分との距離が近すぎる。それではものごとの本質が見えなくなる。全ては無常であり、自分は全体の一部であり、ひいては全体そのものであるのだという智慧があったならば、美しい花や小鳥を愛でるように自分自身や他者を愛でることができる。愛でることはただ甘やかすことではない。自他どちらでもよくないところがあったら認識することによって改善法を探ることができる。自分にとって必要のない感情や感覚であったならば手放してゆくことができる。何事においてもまずは逃げずに真実を見つめることが全ての始まりになる。

占星術好きの方はご存じ、これからは風の時代じゃないですか。嘘や幻想が強かった時代は終わり、真実がいちばん強いという時代への過渡期が今だそうです。ほんとうがいちばん強い。だからこれをここまで読んで下さった奇特な貴方が、ご自身の真実に誠実であれますように。そしたらきっと良いことあるよ。もし嘘をつく場合は絶対にばれない嘘を、墓場まで持っていく覚悟で。そしたらそれはほんとうの嘘になって、真実になるのです。

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【💫主な出演予定💫】

◆8/6(火)関内Ben Tenuto
Blossom Dearie特集
ユニットThe Lost Sweetsとして出演
ジャズライブとDJ, 解説、プログラム付き
浅川太平(Pf)

◆8/9(金)関内Venus
Venus Sistersコーラスライブ!

◆8/16(金)サロンdeおむすび横浜
初出演💖関内駅北口が最寄り、トライベッカがあったところです
松本曹史(Gt & Vo), 小島幸華(Tp), 朝倉由里(Pf), 神吉尚(Ds)

◆8/22(木)関内Venus
去年に続いて気怠い夏特集✨
ボサノヴァや夏の曲をたっぷりと🏝
浅川太平(Pf)

◆9/6(金)名古屋Swing
久しぶりに大好きな名古屋へ遠征です
鈴木靖子(Vo) 浅川太平(Pf)

◆9/14(土)代々木NARU
老舗ジャズクラブへ初出演💖
文舒(Vo), 片貝晴美(Vo), 廣田ゆり(Pf), 佐藤きりん(Ba)

◆9/26(木)おむすびJAZZ神楽坂
出演2回目です!
大橋祐子(Pf)他
わーい、祐子さんと一緒だよー♪

入院&手術&今後の予定

実はこのお休み期間中に手術をしていました。子宮筋腫の摘出術です。手術は先日無事に終わって、一昨日退院しました。

公に発表していたのは突発性難聴のことだけでしたが、どうしても約1ヶ月弱ライブをお休みしないといけなかったのはこの手術があったからです。もちろんこの機会に耳も休めることができるので、すでにかなり回復傾向にある難聴もさらによくなっていくと思います。ご心配下さって温かいお言葉をかけて下さった皆さん、本当にありがとうございます!

生まれて初めての入院&手術。人生経験がまたひとつ増えました。執刀医の方、麻酔科医の方、ナースの皆さん(本当にエンジェルでした…)、手術に向けて色々教えて下さり体を整えて下さった伝統医療の先生には大感謝です。

外科手術を受けるとは、構造上どうしてもさほどお互いをよく知り得ない方々に自分の命を預けるという至極不思議な体験。考えてみればこれってとても不思議なことじゃないですか?外科医の方はむしろ家族や身近な方の執刀は避けることが多いと言うし、人の心のあり方って不思議です。

他にも、生きてる不思議、病気の不思議、治療方針の選択の不思議、命の選択の不思議、人体の不思議、腫瘍が内臓にある/あった不思議、女体の神秘、なんて弱った体で考えています。

予想外の出血があって輸血したり、体調が落ち着いて来たかな〜と思ったらいきなりぱーんと39度台の熱が出たりと、開腹でなく腹腔鏡手術だったとはいえ、されど外科手術。体にあった部位を切り取った後の自分の体の弱まり具合がファンタジスタです。わ、靴下履けなーい!寝返り打てなーい!体が揺れて地震かと思うくらいに動悸すごーい!みたいな。痛みの波が来ているときは弱気になって思わず涙が出てくることもあります。いやいや、でも自分がこの治療方針を選んだのだから、心をしっかり保って回復していかなきゃ。

執刀医の方は8/6のライブでは無事に歌えるはず、とおっしゃってますが、とはいえ、歌手の患者に執刀するのは初めてとのこと。よいサンプルになれるように早期回復に努めます🙏

今はとにかく術後のお腹が痛いのと貧血でふらふらです〜。このまま無事に傷口が塞がり、リハビリも上手くいき、8/6にライブ復帰できますように🌟早く歌いたいよー。

あ、もう現時点で既に歩けるので、万が一歌えなくても、会場の関内ベンテヌートには行ってBlossom Dearieの楽曲のDJと解説はやらせていただきます。あれ?今書いてて気づいたけど、そういえば現時点でぺらぺら喋れるので、考えてみれば、物理的に歌えないということはあり得ないじゃないですか!ちゃんと声帯から音が出ているんだから。じゃあ絶対歌うよ🎙✨というわけで、気合い入ってるので、皆絶対来てね❣️

ひとつ言及しておきたいのが、子宮筋腫というのは、女性の約1/3は持っているのではないかとさえ言われるありふれた病気です。でもその大きさや個数や場所によって症状の大きさは違いますし、それぞれのライフステージやライフスタイルによって、治療方法の選択も様々です。私は子宮を残したまま腹腔鏡手術で筋腫のみを取り除く、という選択をしましたが、あくまで私の場合はということです。

では決定している今後のライブ一覧です。
8月はなぜか関内4連続(笑)
大好きな地元横浜の皆さん、そしてわざわざ遠くから足を運んで下さる奇特な貴方、愛してます。

私普段はあまりこういう言い方しないのですが、こういうときは素直に口から(指から)ついて出てしまう、応援何卒よろしくお願いいたします!🙇‍♀️

それぞれのライブ会場で皆さまにお会いできますことを何よりも心待ちにしております💝☘️

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【💫主な出演予定💫】

◆8/6(火)関内Ben Tenuto
Blossom Dearie特集
ユニットThe Lost Sweetsとして出演
ジャズライブとDJ, 解説、プログラム付き
浅川太平(Pf)

◆8/9(金)関内Venus
Venus Sistersコーラスライブ!

◆8/16(金)サロンdeおむすび横浜
初出演💖関内駅北口が最寄り、トライベッカがあったところです
松本曹史(Gt & Vo), 小島幸華(Tp), 朝倉由里(Pf), 神吉尚(Ds)

◆8/22(木)関内Venus
超絶めずらしく日本語の曲を取り入れたりする予定、松本隆さん作詞の曲とか
浅川太平(Pf)

◆9/6(金)名古屋Swing
久しぶりに大好きな名古屋へ遠征です
鈴木靖子(Vo) 浅川太平(Pf)

◆9/14(土)代々木NARU
老舗ジャズクラブへ初出演💖
文舒(Vo), 片貝晴美(Vo), 廣田ゆり(Pf), 佐藤きりん(Ba)

◆9/26(木)おむすびJAZZ神楽坂
出演2回目です!
大橋祐子(Pf)他
わーい、祐子さんと一緒だよー♪

※ちなみにこれは手術直前の写真。手術後は具合が悪すぎて写真を撮ること自体も思いつかなかったなあ。今後は手術前に大好きな海で撮り溜めた写真をアップしていこうと思いますので、今後の投稿で、え、もう海に行けてるんだ!?と勘違いしないでね(笑)

続・7/25関内Venus出演キャンセルに際してのお知らせ

病気の療養で7/25(木)の関内ヴィナスには出演できなくなってしまい、代わりにClaire Natirbovさんが歌ってくれる旨をひとつ前の投稿でお知らせさせていただきましたが、今度はClaireさんも事情で出演できなくなってしまったそうです…。

本日から私は治療の為入院となりますので、しばらくはSNS等での連絡やお知らせが滞ってしまうかもしれません。

今後7/25(木)の関内ヴィナスの出演者に関しては、ヴィナスの裕美ママのアカウントや公式アカウント等でご確認いただけたら助かります。

お越しをご予定下さっていたお客さま、共演者の皆さま、ヴィナスのスタッフの皆さまにはご迷惑とご不便をおかけして誠に申し訳ありません。

【3時間後の追記】
こちらのライブですが、滝沢望さん(Vo.)がお引き受け下さったとのことです!望さん、ありがとうございます。
m(_ _)m

迅速にご対応下さった裕美ママ、ありがとうございました!
m(_ _)m

7/25関内Venus出演キャンセルのお知らせ

7/25(木)は関内Venusに出演予定だったのですが、事情により出演できなくなり、代わりにアメリカ出身のシンガー、Claire Natirbovさんが歌ってくれることになりました。私の出演がキャンセルとなり、ご予定下さっていた皆さまには大変申し訳ありませんが、Claireさんは本当に素敵なシンガーなので、ぜひぜひお運びいただけたら嬉しいです。

この日はヴァイオリンの水野樹里さん、ピアノの大橋祐子さん、そしてClaireさんと、トリオ編成でのライブになります。

実は去年末から突発性難聴になったり、他にも持病の具合があまりよくなかったりして、体調が低空飛行なまま、数を減らしてライブ活動を続けていたのですが、思い切って約1ヶ月間ライブをお休みして、治療&療養期間に充てさせていただこう、ということになりました。

8/6(火)関内Ben Tenutoでのブロッサム・ディアリー特集のライブで復帰予定で、以降のライブは全てスケジュールどおり出演させていただく所存です。

次回関内Venusには8/22(木)に出演になります。8月以降の他のスケジュール詳細はまた近日上げさせていただきます。

約1ヶ月間しっかり治療&療養して、8月からはまた元気に歌ってゆきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします!

あらためて、事情を汲んで出演キャンセルをご快諾下さった関内Venusの裕美ママ、共演予定だった大橋祐子さん、水野樹里さん、代わりに歌ってくれることになったClaire Natirbovさん、ごめんなさい、そしてご理解とご支援ありがとうございます。

関係者の皆さま、そしてご予定下さっていた皆さまにはご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、また8月以降に笑顔で皆さまにお目にかかれることを楽しみにしております。

ちなみに、身体的には不具合があっても、認識というか、頭は元気なので、そして私は文章を書くのがすきなので、ライブ活動をお休み中もSNS関係は更新し続けると思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

超訳Blossom’s Blues

約束どおり!?Blossom’s Bluesを訳してみたよ!この曲は8/6(火)関内Ben TenutoでのBlossom Dearie特集で歌う予定🌷

歌詞が、私の名前はブロッサム〜♫ って始まるんだけど、実は私も同じ名前なのです。
※(”blossom”は「咲く」という意味の動詞なので、日本語の名前にしたらそのまま「さき」)

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“Blossom’s Blues”
Written by Blossom Dearie

My name is Blossom
I was raised in a lion’s den
My name is Blossom
I was raised in a lion’s den(*1)
私の名前はブロッサム
ライオンの巣で育ったの
私の名前はブロッサム
ライオンの巣で育ったの

My nightly occupation
Stealing other women’s men
I’m an evil evil woman
But I want to do a man some good
I’m an evil evil woman
But I want to do a man some good
I’m “Gina” Lollobrigida(*2)
I ain’t red riding hood
私の夜の仕事は
他の女の子の男のひとを盗むこと
私って悪い悪い女なの
でも男のひとをいい気持ちにさせてあげたい
私ってとびきりのいい女なの
赤ずきんちゃんじゃないのよ

If you don’t like my peaches, baby, why do you shake my tree?
If you don’t like my peaches, baby, why do you shake my tree?
Get out of my orchard, baby
Let my peach tree be
もし貴方が私の桃をすきじゃないなら
どうして木を揺らすの?
もし貴方が私の桃をすきじゃないなら
どうして木を揺らすの?
いやなら果樹園から出ていって
私の桃の木にはすきにやらせてよね

Now don’t you ooh skooya doo skooya dee
And I won’t ya ya doo doo doo doo
If you don’t ooh skooya doo skooya dee
Then I won’t ya ya doo doo doo doo
So don’t you ooh skooya doo skooya dee
And I won’t ya ya doo doo doo doo
ねえ今すぐあれをやって
私はあれをしないから
もしあなたがあれをしないなら
それなら私もしないからね
だからねえあれをやって
私からはしないからね

Some men like me cause I’m happy
Some think I’m snappy
Some call me honey
And some think I’ve got money
But Ray Brown told me I was built for speed (*3)
男の人たちはたいてい私のことがすき
私はごきげんだから
ある人は私がクールだって思ってる
ある人は私が可愛いって思ってる
ある人は私がお金には困ってないって思ってる
でもレイ・ブラウンは言うの
私は生まれつきのスピード狂だって

You put them all together
Everything a good man needs
You put them all together
Everything a good man needs
今言ったこと全部かけ合わせるとね
私の中にはいい男が必要とする全てがある
今言ったこと全部かけ合わせるとね
私はいい男が必要とする全て
………………………………………

【訳註】
(*1) ギル・エヴァンスのアパートに入り浸って猛獣のようなビバッパーたちとつるんでいたくらいですからね。

(*2)
“Gina” Lollobrigidaはイタリア出身ハリウッド黄金期のセックス・シンボルのひとり。1950-60年代には世界でいちばん美しい女性と謳われた。日本の素敵なドラァグ・クイーン、ドリアン・ロロブリジーダさんのお名前はここに由来するのでは。

(*3)
レイ・ブラウンはエラ・フィッツジェラルドの元夫でチャーリー・パーカーとかディジー・ギレスピーとかオスカー・ピーターソンとかデューク・エリントンとかと一緒に演奏していた凄腕のダブルベースのベーシスト。この曲が収録されたブロッサム・ディアリーのヴァーヴからの1stで演奏しています。この人にスピード狂と言われるブロッサム…!

………………………………………

【ライブのお知らせNext Show on Aug 6th】
8/6(火)関内Ben Tenuto, Kannai
🌷The Lost Sweets Plays Blossom Dearie🌹

ユニットThe Lost Sweetsの次回のイベントのテーマはブロッサム・ディアリー🌸

Saki Kato加藤咲希Vo & DJ
Taihei Asakawa浅川太平 Pf

Open 18:30
1st 19:30 DJ SET
2nd 20:00 PIANO SOLO SET
3rd 20:50 VOCAL SET

MC adv予約 ¥3000 / door当日 ¥3500
+TC ¥500

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブ、プログラム付き❣️

関内Ben Tenuto
https://ben-tenuto.owst.jp
横浜市中区弁天通3-48
Tel: 045-263-6778

………………………………………

【💫主な出演予定💫】

◆7/2(火)関内Venus
裕美ママBirth Day Eve
コーラスグループVenus Sistersとして出演

◆8/6(火)関内Ben Tenuto
Blossom Dearie特集
ユニットThe Lost Sweetsとして出演
ジャズライブとDJ, 解説、プログラム付き

◆8/16(金)サロンdeおむすび横浜
初出演!関内駅北口が最寄り
トライベッカがあったところです

◆8/22(木)関内Venus
超絶めずらしく日本語の曲特集予定
松本隆さんの作詞は素晴らしいですね

◆9/6(金)名古屋Swing
久しぶりに大好きな名古屋へ遠征です
鈴木靖子(Vo) 浅川太平(Pf)

◆9/14(土)代々木NARU 初出演!
老舗ジャズクラブへ初出演、応援よろしくお願いします!

※英語個人レッスンの受付を再開しました※
日常会話、ビジネス英語、受験、全て対応可。まずは体験レッスン¥3,000/1hからお気軽にどうぞ👩‍🏫📕

8/6 Blossom Dearie特集!

【ライブのお知らせNext Show on Aug 6th】
8/6(火)関内Ben Tenuto, Kannai
🌷The Lost Sweets Plays Blossom Dearie🌹

ユニットThe Lost Sweetsの次回のイベントのテーマはブロッサム・ディアリー🌸

Saki Kato加藤咲希Vo & DJ
Taihei Asakawa浅川太平 Pf & Key

Open 18:30
1st 19:30 DJ SET
2nd 20:00 PIANO SOLO SET
3rd 20:50 VOCAL SET

MC adv予約 ¥3000 / door当日 ¥3500
+TC ¥500

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブ、プログラム付き❣️

関内Ben Tenuto
https://ben-tenuto.owst.jp
横浜市中区弁天通3-48
Tel: 045-263-6778

言わずと知れた弾き語りの歌姫、Blossom Dearie。あまりにも独特でキュートな歌声が印象的。そのファニーヴォイスに隠れて聞き落とされがちですが、実はピアノも歌もめちゃくちゃ上手い。タイムもピッチもものすごいところにいます。正確性と独創性。

声と容姿は激可愛なのですが、一皮めくってみれば、ギル・エヴァンスのアパートに入り浸って錚々たるビバッパー達とつるんでいたり、あのビル・エヴァンスもブロッサムのヴォイシングを参考にしたという発言をしていますし、マイルスに至ってはブロッサムが自らの演奏中に喋っていたオーディエンスをうるさいから黙ってと牽制した彼女の態度に心底驚いたという逸話があります。

ヴォイストレーナーにあなたの発声は呼吸法がよくないからそういう変わった声になっている、ヴォイストレーニングをするべきだと言われても全く意に介さなさったとか。

1957年にヴァーヴから出した初のソロアルバムの中に入っている自作曲Blossom’s Bluesの歌詞もすごい。最初だけ訳してみるとこんな感じ。

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私はライオンの巣で育ったの
夜の仕事は他の女の子の男のひとを盗むこと
私って悪い女なの
でも男のひとをいい気持ちにさせてあげたい
私はいろんな顔を持ってるの
でも赤ずきんちゃんじゃないのよ
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これを自分で書いてあの声と容姿と実力で歌う妙。ユーモラスで露悪的。歌詞の最後の方にはレイ・ブラウンのエピソードが出てきたりします。ほんとこの歌詞面白いので後で全訳を書いてアップしたいと思います!

どう考えてもかな〜り気が強かったであろうブロッサム、調べれば調べるほど最高。ライブはもちろん、DJ&解説もお楽しみに❤︎

【The Lost Sweetsとは】
本、映画、気になる出来事、古今東西あらゆる素敵なカルチャーをリミックス、スウィングしながら皆さんと一緒に楽しく再読することを目標とし、毎回ひとつのテーマを掲げ、DJや解説を織り交ぜ、プログラム付きの一風変わったライブを開催。今までのテーマは、ビリー・ホリデイ、フランソワーズ・サガン、ソフィア・コッポラ、パールストリートのクレイジー女たち、等。

9/6(金)名古屋Swing出演決定! 

【9/6(金)名古屋Swing出演決定!】

嬉しいご報告があります💖 
約2年半ぶりに大好きな名古屋へ遠征が決まりました✨ 9/6(金)名古屋Swingに出演させていただきます♫ http://jazzspotswing.com

共演は先日とあるイベントで仲良くなった素敵なシンガー鈴木靖子ちゃん🎙そしてユニットThe Lost Sweetsでも一緒に活動しているピアニスト浅川太平さんです🎹

私と浅川さんが名古屋に出演させていただくこと自体がめずらしいですが、靖子ちゃんとは2声のジャズコーラスアレンジ曲にも挑戦する予定です👭 
普段は私は横浜、靖子ちゃんは名古屋エリアに活動拠点があるので、滅多にできない、かなりめずらしい内容のライブになると思います✨

久しぶりの名古屋遠征、ほんとうに嬉しいです💕名古屋エリアの皆さまにお会いできることを心待ちにしております🫶🏻

ご予約は、私、出演メンバー、お店の方でも承っております♫

【💫主な出演予定💫】

◆7/2(火)関内Venus
裕美ママBirthday Eve💐
コーラスグループVenus Sistersとして出演

◆8/6(火)関内Ben Tenuto
🌸Blossom Dearie特集🌸
ユニットThe Lost Sweets🍫として出演
ジャズライブとDJ, 解説、プログラム付き

◆8/16(金)サロンdeおむすび横浜
初出演❣️関内駅北口が最寄り🚶‍♀️
トライベッカがあったところです〜

◆8/22(木)関内Venus
超絶めずらしく日本語の曲特集予定
松本隆さんの作詞は素晴らしいですね✒︎

◆9/6(金)✨名古屋Swing✨
久しぶりに大好きな名古屋へ遠征です❤️
鈴木靖子(Vo) 浅川太平(Pf)

◆9/14(土)代々木NARU 初出演❣️
老舗ジャズクラブへ初出演、応援よろしくお願いします🫶🏻💕

※英語個人レッスンの受付を再開しました※日常会話、ビジネス英語、受験、全て対応可。まずは体験レッスン¥3,000/1hからお気軽にどうぞ👩‍🏫📕

おむすびJAZZ神楽坂御礼

6/7はおむすびJAZZ神楽坂に初出演でした❣️お越し下さった皆さまありがとうございました✨

いつものジャズに加えて、普段は歌わない日本語の曲を歌ってみたり、とても新鮮な体験をさせていただきました🙏初めてお会いした古川琴子さんはピアノもお歌もお人柄もふんわりとお優しく素敵で癒されました…☘️💕

そしてママのSasammyさんに初登場のお客様たちも次々と魅了されていました✨華やかなステージングと張りのあるお声、おしゃれでお喋りも楽しく、繊細な気遣いもすばらしいママさん🌟

もう一生分のお酒を飲んだと思い(ほんとか😆!?)特に歌うときは全くお酒を飲まなくなった私ですが、オフの日に東京で飲みに行きたくなったらふらっと遊びに行きたいなと思いました🍹

次回、おむすびグループには、先日グランドオープンしたばかり🎉の関内の店舗、

サロンdeおむすびYOKOHAMAに8/16(金)出演させていただきます🙏❣️

場所は、関内駅北口出て真っ直ぐ、老舗鰻屋さんのわかなを通り過ぎて、ロイヤルホストの先の中小企業センタービルの地下。横浜の方はピンとくるかもしれない、そうです、私も駆け出しの頃数年間出演させていただいた、あのお店があった場所です〜🎹

横浜エリアの(もちろん他の場所からも!)音楽好きの皆さまのお越しをお待ちしております✨

ものかきのおしごと(プログラム編)

【今夜Satin Dollに私の”文章”が出演します📕✒︎】

本日6/10(月)六本木Satin Dollにて開催される浅川太平さんのピアノソロライブJazz In Literature 3。

今回もプログラムを書かせていただきました。第3回目のテーマは「フランスの文学とジャズ」。文学の中に描かれているスタンダードを実際に奏でてみるという、ピアニスト浅川太平さんの意欲的な企画です。

サルトル、サガン、バタイユ、ヴィアン、カミュといった著名な文学者/思想家の作品に加えて、たぶんまだ殆どの方が耳にしたことのないような新進気鋭の作家の興味深い作品もバランスよく盛り込まれています。

私がやらせていただいたのは、それぞれの作品を解説し、要約し、実際にスタンダードが引用されている箇所を抜粋して掲載する、という作業です。

執筆にあたって特に意識していたのは、今回取り上げている文学作品を既にお読みになっている方はもちろん、そうでない方にも、当日ライブ会場でプログラムに目を通していただくだけで、だいたいの内容が把握していただけて、この試みを存分にお楽しみいただけるように、ということです。ですから、もしご興味をお持ちくださった方は、ぜひ気負いなくお立ち寄りください。

取り上げている文学作品は合計14冊、プログラムの全文字数を数えたら13,500字以上ありました。精魂込めて書いたプログラムですが、門外不出で、このライブにお出かけくださった方のお手元にのみ、届くことになります。浅川さんと立ち上げたユニット、The Lost Sweetsのライブにいちどでもお越しくださった方ならご存じのように、こちらのユニットのライブでも毎回プログラムをご用意しておりますが、今回は文字数だけで言えば軽くその10倍程の分量になっているのではないかと思います。

あらためていちどに大量のフランス文学作品に触れて思ったのは、どの作家も、この素晴らしきフランス文学の潮流の中から生まれてきたという事実からは、意識的であれ無意識的であれ、誰ひとりとして逃れることはできないのだということです。必ず過去の作品への言及やオマージュや暗喩がある。フランス文学者たちの教養には凄まじいものがあります。そのお互いへのリスペクトや思慕や嫉妬に、私はにんまりしてしまうのです。

それから、これも一様なので驚くべきことですが、どの作家も、究めて論理的整合性が高いということです。一見、ファンタジックでふんわりとした雰囲気の作品でさえ、論理的整合性がしっかりと構築されている。フランス語という言語のなせるわざなのかもしれません。言語学の世界では、言語自体の論理性を測定することがあるのですが、フランス語の論理性は世界一だったと記憶しています。

どの訳も素晴らしく、連綿と受け継がれてきた日本のフランス語翻訳界の知の力に敬服しております。

当初は私は都合でざんねんながらライブ本番には伺えないかと思っていたのですが、急遽予定が変わり、今夜Satin Dollに伺えることになりました。オーディエンスとしてJAZZと文学の幸福なマリアージュを体感したいと思います。

最後に、プログラムの一部をちら見せ、少しだけ引用させていただきます。

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ギヨーム・ミュッソ著/吉田恒雄訳『パリのアパルトマン』集英社文庫P23よりBrad Mehldau

“Lament For Linus”

 音楽のことを言葉で語るのは難しい、言葉で語れることは最初から音楽を必要としないからだ。同じく、絵画のことを言葉で語るのは難しい、言葉で語れることは最初から絵画を必要としないからだ。でもこのフランスの国民的作家は、絵画のことを言葉で、とても美しくリアルに、いかにも興味をそそるやり方で描くことができる。

 巻貝一万個の液を集めてやっと1グラム製造可能なティリアン紫、マンゴーの葉しか食べさせない雌牛の尿から精製するインディアンイエロー、ミイラを粉砕して遺体の防腐処理に使った包帯状の布に含まれる樹脂から採ったマミーブラウン、天然顔料におけるひとつひとつの色が、どんな歴史や過程を経てここに存在しているのか、というくだりひとつとっても絶品。

 川出正樹による巻末の解説によると、この小説は「現代美術をめぐる美と愛と、創造と破壊の物語」。とっても素敵なことと、とっても残酷なことが同時に起こり、エスプリの効いたたくさんの文化的引用と、ワクワクするようなディテールと、深い人物造形に満ちた極上のミステリー。果たして芸術家はその周囲や自らを削るような形でしか創作に向かうことができないのか?そしてこれはかなり極端で変わった形での、現代版『クリスマス・キャロル』でもあるのだ。

 主人公のひとり、人気劇作家で人間嫌いのガスパールは、一年に一度あえて大の苦手なパリに滞在するという自虐的なやり方で集中して作品を執筆することにしている。特にクリスマス期のパリは最悪だ。

“到着ロビーは異常な混雑で、ガスパールは抱きあってキスをしている男女を押しのけ、床に寝転がっている人をまたいで先に進んだ。視界の中に突然 ”タクシー乗り場” と書かれた開店ドアが現れた。あとほんの数メートルで悪夢は終わってくれる。タクシーに乗ったらヘッドフォンをとり出し、そのままブラッド・メルドーのピアノとラリー・グレナディアのベースの調べに逃げこむつもりだ。”

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フランソワーズ・サガン著/朝吹登水子訳『すばらしい雲』新潮文庫P80より

Jerome Kehn “Old Man River”

 くらくらするほど濃密で残酷な共依存関係の夫婦のやりとり。恋愛というのは逆説的に、おそろしく理性的な人間か、あるいは殆ど恋愛を必要としない者にしか上手くやりこなせないのではないかとさえ思えてくる。18歳のときに『悲しみよこんにちは』で鮮烈なデビューを果たし一躍フランス文学界の寵児となった恋愛小説の名手による第5作目の長編。風変わりな題はボードレールの詩「異邦人」からの引用である。

 美しいアメリカ人男性のアランと結婚したフランス人のジョゼ。アランからの執拗な嫉妬、言い争い、恋の行為。「《結局、君はこれが好きなんだろう?》とある日、特に長い喧嘩のあとでアランが言った。ジョゼは愕然としてアランをみつめた。たしかに彼女はこういうことが好きになってしまったのかもしれない。独立したひとりの人間としてでなく病的な恋愛の対象であるひとつの無力な物として扱われることが……。(中略)否、彼女は男の執念の対象とならずに、ひとりの男性と人生を分かちたかったのだ。(P41)」

 アランから逃げるようにひとりNYからフランスに帰国したジョゼ。しかし友人のベルナールに居場所を突き止められてしまい、パーティーへの誘いを受ける。渋々出かけていった先ではこれから黒人歌手が歌うところ。パリの中産階級達は黒人歌手なら良い歌が歌えるに違いないと思い込んでいるのだ。

“その時、人影がよろめいてジョゼの傍に座った。歌手は悲しげに「オールド・マンリヴァー」とアナウンスし、誰かが「ブラヴォ」と叫んだ。歌手は歌いはじめた。歌手は黒人なので人々はすぐに彼の才能を信じこみ、座はしんとした。(中略)《へたな歌だね》とアランの低い声が言い、ジョゼは彼の方にふりむいた。

 彼らの視線はかち合い、気まずく、取乱して相手をじっとみつめ合った。なつかしさをもって相手を認めると同時に相手を否定しながら……。そこには愛想の良さと、偽りの驚きと、恨みと恐怖とが混っていた。おのおの、相手の瞳のはっきりした輝き、あまりにもよく知りすぎているその顔立ち、唇の病的な沈黙のわななきしか見ていなかった。

「どこにいたんだ?ーどうして来たの?ーよくも僕を捨てられたね?ーこれ以上私に何を要求するのよ?」これらすべてがあらあらしく「オールド・マン・リヴァー」の歌詞にとって変った。”

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少しだけというか、全体の1/7以下だけでこの文章量なのですが(笑)

ね、面白そうでしょう?

皆さまの今夜が素敵なものでありますように。

6/4Venus出演御礼

昨晩は関内Venusに出演でした✨お越し下さった皆さまありがとうございました💖

ボーカルエフェクターを使ってのライブは2回目でしたが、だんだんできることが増えていって嬉しいです🌈🦄お店の環境によってもかなり音が左右されるので、それぞれ出演させていただく場所でのベストなセッティングを体感していくことが大切ですね〜❣️

ギタリスト、寺屋ナオさんとのデュオ共演は初めてでした♫攻め攻めスウィングのときにも後ろに引っ張ってくれるグルーヴ感、バラードで静かに歌いたいときの音数を絞った空間作りの美しさ、ジャズはもちろん、ボサノヴァ、ポップ、日本語の曲も全て瞬時にやりたいことをわかって下さり、休憩中は面白トークに引き込まれ、全てのキーを愛しているという博愛主義のナオさんの歌伴の素晴らしさを堪能させていただいた一夜でした。。。💎✨

次回ナオさんとの共演は同じく関内Venusにて、7/2(火)裕美ママの誕生日イヴに、コーラスグループVenus Sistersとして出演します❤️💙💚
盛り上がること間違いなし!ご予約はお早めにどうぞ🌟