The Music About Elizabeth Taylor On Her (and my) Birthday

あと数日で2/27(火)関内ベンテヌートでのエリザベス・テイラー特集ライブとなります。この日は彼女の、そして偶然にも、私の誕生日でもあります。

このユニット、The Lost Sweetsでは毎回文化的な出来事の再読という試みを掲げてライブを開催しています。

今回は大女優に焦点を当てることによって、彼女の主演作がハリウッドを賑わせていた主に1940年代から1960年代にかけての美しい映画音楽と流行歌を集めることができました。

今回歌うのは、たとえばこんな楽曲たちです。

【緑園の天使】より“Greensleeves”

【ジャイアンツ】より“South Of The Border”

【陽のあたる場所】より“Mona Lisa”

【いそしぎ】より“The Shadow Of Your Smile”

【雨の朝巴里に死す】より“The Last Time I Saw Paris”

【夕なぎ】より
Hideaway

これらの映画の原作にはF・スコット・フィッツジェラルドやテネシー・ウィリアムズ等が名を連ねます。

DJ&解説とピアノソロでは、エリザベス・テイラーの主演作で(つまりハリウッドで)活躍した映画音楽家たちの楽曲に触れていきます。

ブロニスラウ・ケイパー、アレックス・ノース、ジョン・バーリー、ジョニー・マンデル、チャールス・ウォルコット。

これらの素晴らしい作曲家たちは、
”On Green Dolphin Street”, “Emily”, “Invitation”等の現代でも演奏され続けているスタンダードを生み出しました。彼らの多くがクラシックの素養を持つジャズミュージシャンでした。

クラシックの素養を持つジャズミュージシャンにしてThe Lost Sweetsの音楽監督、浅川太平氏のそれぞれの楽曲のオリジナルアレンジが光ります。バロック風の“The Shadow Of Your Smile”や、ポストコロニアル的視点でリハーモナイズされた“South Of The Border”をぜひ聴きにいらして下さいませ。

今回特集するにあたって、あらためてエリザベス・テイラーの主演作を観たり、評伝や自伝を読んで感じたのは、リズって無邪気で野心がなくて、なんてキュートなんだろう!ということでした。容姿の美という才能と、さほどそれを重要視していない本人の在り方。どうして8回も結婚したのかしら、とか、だんだんと私なりの解釈が生まれてきます。

個人的に占星術というのは世界を解釈する上で何千年もかけて取捨選択されてきた偉大なる知恵だと思っているのですが(だって気圧が下がっただけで頭痛になって憂鬱になるのに、女性は月の満ち欠けに沿った周期を生きているのに、自分より遥かに巨大な天体の動きの影響を受けないわけがないと思うのです)、同じ魚座なので(というか同じ誕生日なので)容姿や知名度は全く違っても、なんとなく感覚がわかるような。DJ&解説のときに、彼女の魅力やパーソナリティにも言及できたらと思います。

2/27 (火) at 関内Ben Tenuto, Kannai
February 27th
“The Music About Elizabeth Taylor On Her (and my) Birthday”

https://ben-tenuto.owst.jp

横浜市中区弁天通3-48045-263-6778

加藤咲希Saki Kato (Vo & DJ)
浅川太平Taihei Asakawa (Pf)

OPEN 18:30
1st 19:30~20:00 DJ&解説
2nd 20:00~20:30 PIANO SOLO
3rd 20:50~21:30 VOCAL LIVE SHOW

Adv予約 ¥3,000
Door当日 ¥3,500

プログラム付き

Don’t miss it!

The Music About Elizabeth Taylor On Her (and my) Birthday

実は私、2/27が誕生日なのですが、この日に関内ベンテヌートで、エリザベス・テイラーにまつわる企画ライブをThe Lost Sweets名義で開催します。

毎回文化的なテーマを掲げているThe Lost Sweetsのライブ。今回は女優をテーマにしよう、それならやはり、大女優エリザベス・テイラーではないかということで、まず最初にテーマが決まり、偶然にも、彼女の誕生日と私の誕生日が同じ日なことが発覚し、せっかくならこの日に開催しよう、という運びになりました。(テーマが決まる前の当初のライブ開催予定日は2/28でした。それでもたった一日違いという偶然も凄いけど!)

もうバースデイライブなるものはしないと思っていたので(シャイなので)、エリザベス・テイラーのおかげで、結果として「バースデイにライブをする」ことになりました。

このイベントは、ユニットThe Lost Sweetsでは恒例になってまいりました、DJ&解説、ピアノソロ、もちろんボーカルライブに加えて、プログラム付きでお届けします。

2/27 (火) at 関内Ben Tenuto, Kannai
February 27th

“The Music About Elizabeth Taylor On Her (and my) Birthday”

https://ben-tenuto.owst.jp

横浜市中区弁天通3-48

045-263-6778

加藤咲希Saki Kato (Vo & DJ)
浅川太平Taihei Asakawa (Pf)

OPEN 18:30
1st 19:30~20:00 DJ&解説
2nd 20:00~20:30 PIANO SOLO
3rd 20:50~21:30 VOCAL LIVE SHOW

Adv予約 ¥3,000
Door当日 ¥3,500

大変有り難いことに既にいくつかご予約いただいております。良席をご希望の方はお早めにご予約下さいませ。いらして下さることが何よりのギフトです💝

The Virgin Suicidesを終えて

1/31自由が丘hyphenにお越し下さった皆さまありがとうございました!The Lost Sweetsを結成してから2回目のライブでした。

今回の企画は
“The Music From The Films by Sofia Coppola Chapter 2 – The Virgin Suicides -”

DJ、朗読、解説、ピアノ&シンセソロ、ボーカルライブをプログラム付きでお届けしました。

準備に費やした数週間、よりこの映画の霊性の中を色濃く生きていたように感じます。それは背伸びをしたり憧れたりする必要のない、とても肌なじみのよいものでした。自分の内面宇宙がそのまま世界に表出してしまったような作品に出会うことがあります。もちろん或いは、ジャック・ラカンが論じたように、好きすぎてそのものになってしまうのかもしれないです。記憶は常にねつ造され続けます。

人生=映画であり、
映画=夢である。つまり、
人生=夢という、素敵な三段論法に愛を込めて。

ライブのハイライト場面の動画を後ほどこちらにアップしますので、よろしかったらぜひフォローして下さいね。

The Lost Sweets Instagram
https://www.instagram.com/the_lost_sweets?igsh=MWxlM3Zkcm10NTV1aQ%3D%3D&utm_source=qr

【The Lost Sweetsとは】
本、映画、気になる出来事、古今東西あらゆる素敵なカルチャーをリミックス、スウィングしながら皆さんと一緒に楽しく再読してゆくデュオ🍫

次回、The Lost Sweetsの企画は…

2/27(火)関内Ben Tenuto

“The Music About Elizabeth Taylor On Her Birthday”

女優、エリザベス・テイラー特集です。
この日は彼女の誕生日であり、偶然にも私の誕生日でもあります。

“The Air That I Breathe” by The Hollies 歌詞和訳

〜ライブの準備をしているうちにやらずにはいられなくなる恒例の歌詞和訳シリーズ〜📖

The Lost Sweets企画🍫1/31(水)自由が丘hyphenに向けて。

Radioheadの”Creep”の元ネタ、イギリスのロックバンドThe Holliesのヒットナンバー、
“The Air That I Breathe”

楽曲のYouTubeリンクはこちら。
https://youtu.be/HydvceA1PAI?si=I5cYagIblJCxSetA

“The Air That I Breathe” by The Hollies

[Verse 1]
If I could make a wish
もし願いがひとつ叶うとしても

I think I’d pass
僕はたぶん何も願わない

Can’t think of anythin’ I need
何も必要だと思えない

No cigarettes, no sleep, no light, no sound
煙草も、睡眠も、光も、音も

Nothing to eat, no books to read
食べ物も、読む本さえいらない

[Verse 2]
Making love with you
君と愛を育むことが

Has left me peaceful, warm, and tired
僕を安らかで、暖かくて、緩やかな状態へと導いてゆく

What more could I ask
これ以上のことなんてあるだろうか

There’s nothing left to be desired
もう望むものは何にもないな

Peace came upon me and it leaves me weak
圧倒的に安らかな感覚が訪れて、力が入らない

So sleep, silent angel
「眠りなさい」静寂の天使が言う

Go to sleep
「もう眠って」

[Chorus]
Sometimes, all I need is the air that I breathe
And to love you
ときどき、僕に必要なのは、呼吸するための空気、そして君を愛することだけ

All I need is the air that I breathe
Yes, to love you
僕に必要なのは、呼吸するための空気、そう、君を愛することだけ

All I need is the air that I breathe
僕に必要なのは、呼吸するための空気

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ヴァース1の4行目では主体が睡眠さえいらないと言っているのに、ヴァース2の6行目では静寂の天使が「眠りなさい」と言うのはなぜか。これは歌詞の整合性の破綻ではないと思う。この歌詞の中で”sleep”という単語が担っている役割は多岐にわたる。
”sleep”は、もちろん睡眠のことも指しているけれども、それだけではない。エロス、タナトス、小さな死、大きな死、それからいちおうここには書かないでいた方がよいであろうこと。

ヒントとしては、この楽曲が70年代のものであること。フラワーピープルのいちばん美しい部分が凝縮されているのだということ。ヒッピーカルチャーは破綻してしまったけれど、その理想は美しかったと思う。どのパラダイムにもその思想を凝縮した宝石のような奇跡のような作品はあらわれる。

解釈の続きは1/31自由が丘hyphenでのライブにいらして下さった方にだけ、こっそりお伝えします。日本語ではもちろん、英語で検索してもこの歌詞の解釈は出て来なかったけれど、歌の練習をして向き合っているうちに、決定版かつ当然の解釈が降りてきたのでぜひ皆さんにシェアしたいと思います。

まずはYouTubeを聴きながら上記の直訳をお読みいただき、楽曲の素晴らしさをお楽しみ下さい。歌詞と一体となったメロディとコード進行の高揚感が凄まじい。

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【ライブ情報】
The Lost Sweets企画
ソフィア・コッポラ監督の映画音楽の世界
第二章 “ヴァージンスーサイズ”

1/31(水)自由が丘hyphen, Jiyuugaoka
January 31st

http://r.goope.jp/hyphen/
目黒区 自由が丘 1-26-9 三笠ビルB1
03-3723-2251

The Lost Sweets are:
加藤咲希Saki Kato (Vo.)
浅川太平Taihei Asakawa (Pf.)

19:30 DJ
20:00 PIANO SOLO
20:50 VOCAL LIVE
予約¥3000
当日¥3500

DJ&解説、ピアノソロ、ボーカルライブ、プログラム付

さらなる詳細はこちら。ソフィア・コッポラ監督とヴァージンスーサイズに関して。

https://sakikato.com/2024/01/19/the-music-from-the-films-by-sofia-coppola-chapter-2-the-virgin-suicides/

Don’t miss it. That’s your loss.

Our Instagram
https://www.instagram.com/the_lost_sweets?igsh=MWxlM3Zkcm10NTV1aQ%3D%3D&utm_source=qr

The Music From The Films by Sofia Coppola Chapter 2 – The Virgin Suicides – 


実に3ヶ月ぶりの東京でのライブです!


The Lost Sweets企画
1/31(水)自由が丘ハイフン
ソフィア・コッポラ監督の映画音楽の世界
第二章 “ヴァージンスーサイズ”

January 31st (Wed.) at hyphen, Jiyuugaoka
The Lost Sweets presents
“The Music From The Films by Sofia Coppola Chapter 2 – The Virgin Suicides -”

OPEN 19:00
1st 19:30~20:00 DJ
2nd 20:00~20:30 PIANO SOLO
3rd 20:50~21:30 VOCAL LIVE SHOW

http://r.goope.jp/hyphen/
目黒区 自由が丘 1-26-9 三笠ビルB1
03-3723-2251

Adv予約 ¥3,000
Door当日 ¥3,500

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブあり、プログラム付き

The Lost Sweets are:
加藤咲希Saki Kato (Vo.)
浅川太平Taihei Asakawa (Pf.)

【The Lost Sweetsとは】
本、映画、気になる出来事、古今東西あらゆる素敵なカルチャーをリミックス、スウィングしながら皆さんと一緒に楽しく再読してゆくデュオ📕

前回の風変わりなビリー・ホリデイ&フランソワーズ・サガン特集ライブの記憶も新しいままに、全く別のイベントを自由が丘の地で企画しています。去年の秋口に第1回目の開催をし、おかげさまでご好評いただきましたソフィア・コッポラ監督の映画音楽の世界、第2弾になります。今回はソフィア・コッポラ監督の「処女作」である『ヴァージンスーサイズ』のみにフォーカス。

高校生のとき、渋谷のスペイン坂を上がりきったところにあったシネマライズで観たこの映画は、はっきりと私の人生を変えました。この女性は女の子の瑞々しい感性を保ったまま大人になり、それを全く新しくこのように美しい作品として世界に提示することができた。子供のままでいたい、大人になりたくない、といったような退行願望とは全く違う、なぜなら彼女は少女の瑞々しい感性を保ったまま知性ある大人になったのだから、退行する必要などないのです。

こんな風にストーリーテリングを行った映画監督をソフィア・コッポラ以外に私は知りません。コッポラ姓は彼女の父、偉大なるフランシス・フォード・コッポラ監督から受け継いだものですが、父と娘の才能のあり方は全く違う。

これは女の子の、女の子による、女の子のための映画です。もちろんそれは、ジェンダーやセックスといった性の区分けで簡単に誰かを排除するものではなく、心の中の乙女の話。

ヴァージンスーサイズのない並行宇宙には、私のペルソナ、もうひとりの私、Lilla Flickaは存在していないはずです。

音楽に造詣の深いソフィア・コッポラ監督の映画で流れる曲たちは、きらきらのセンスで選び抜かれた珠玉の名曲ばかり。原作である『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』の舞台、1970年代のヒットナンバーの中でも特に洗練され機知に富んだ、でもその時代を生きた人間には耳馴染みのあるであろう、そしてこの物語にぴったりな曲たち。

この日私が歌うのは例えばこんな楽曲です。

I’m Not In Love – 10cc
Hello, It’s Me -Todd Rundren
Alone Again (Naturally) – Gilbert O’Sullivan
So Far Away – Carol King

これらの名前を羅列してゆくだけでわくわくしてしまいます。

The Lost Sweetsのライブでは定番となってまいりました、DJ&解説の時間と、浅川氏のピアノソロの場面もございます。

作品は読まれる為にそこに存在する…いえ、読まれることによって初めて存在できる。読まれることによって作品は創造され、解体され、再構築され、完成され、また解体され、それは半永久的に続いてゆく。そしてどう読むかは個々人に委ねられたとてつもない自由であり、悦びであります。

この日がお越し下さる皆さまにとって、そしてわれわれ演者にとって、素敵な音楽体験であり、ガーリー・カルチャーというポップカルチャーの体験の場となりますように。皆さまとの共同創造を楽しみにしております。

The Lost Sweets’ Instagram

https://instagram.com/the_lost_sweets?igshid=YTQwZjQ0NmI0OA%3D%3D&utm_source=qr

Françoise Sagan Met Billie Holidayを終えて

昨晩、関内Ben TenutoにてThe Lost Sweets🍫による企画ライブ、“Françoise Sagan Met Billie Holiday /フランソワーズ・サガンはビリー・ホリデイに会いに行った” 開催❣️

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブ、プログラム付きでお届けしました✨

オーディエンスの皆さまから素敵な反応を多数いただき、嬉しい気持ちでいっぱいです。お花、チョコレート、お弁当、サガンの著作!と差し入れもたくさん、ありがとうございました💐

ビリー・ホリデイの印象的な絵が店内を彩っているベンテヌートさんでこの企画をやらせていただけたことが光栄でした。

終わってみて思うことは、ビリー・ホリデイが彼女自身の出自のブルーやスキャンダラスな側面を抱えていたことは確かに否めないけれども、それに加えて、破天荒で、面白くて、刺激的なことが好きで、したたかなところもあったりして、でも純粋で、恋に生きた、そして何よりセンスのカタマリで歌が素晴らしい、女性であり歌手であったんだなと。

この描写はそっくりそのまま、全く同じフレーズで、フランソワーズ・サガンのことも描写できるかなと思います。二人ともあんなに有名なのに亡くなるときは無一文だったとか。恋仲になった相手は数知れず。二人とも酷いアルコールと薬物依存症で。でも生きている間はセンスでなんとか乗り切っちゃう、みたいな。

ものすごい才能を持って人生を駆け抜けた愛すべき二人の先駆者に感謝と敬意を。

今後The Lost Sweetsの企画ライブは、

1/31(水)自由が丘hyphen

ソフィア・コッポラ監督の映画音楽特集

2/27(火)関内Ben Tenuto

女優エリザベス・テイラー特集(私の誕生日にもあたります)

と続きます🍫

両ライブともに昨日と同じ構成で、

1st 19:30 DJ 

2nd 20:00 PIANO SOLO 

3rd 20:50 VOCAL LIVE 

予約 ¥3,000

当日 ¥3,500

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブあり、プログラム付き 

🎧🎹🎙📕

となっております。毎回相当な熱量を持って臨んでいる企画ですので、ぜひご予約はお早めに✨

<余談>

ヒョウ柄のコートはヒョウ柄好きのサガンのコスプレでしたが、撮って貰った写真を見ると、コートを来たまま仁王立ちで歌う私がOASISのリアムみたいだな、と思いました😆(OASIS最高)

Gott nytt år!  

Gott nytt år! 今年もよろしくお願いします!年末年始はヴェニスで…過ごしていたわけではなく、風邪で寝込んでました(笑)今年こそは倒れないように緩〜いスケジュールにしていたのになぜが倒れる不思議〜。治ってきたから無問題!

今年の抱負は、違うことをしないこと(by 吉本ばなな)。

さて、最近の私にはめずらしく、今月は4本のライブがあります✨

1/10にビリー・ホリデイ特集のライブがあるので、寝ても覚めてもビリーの歌を聴き、ビリーのことを考えていたら、夢の中までビリーになりました。悲劇性が取り沙汰されがちなビリーですが、そして確かに彼女の人生には多くの困難があったのだと思いますが、生きていくことはそれだけでは成り立たなくて、絶対にハッピーにならざるを得ない瞬間もある。恋をして、素敵な音楽を聴いて、歌って。ビリーの可愛くて、優しくて、ユーモラスで、スウィートなところ、今回はフランソワーズ・サガンの視点を借りつつ、そういういうところにフォーカスしています。いわゆるソフィア・コッポラマナーです。彼女がどういうふうにマリー・アントワネットや少女たちの自死を描いたのか。

それから、3ヶ月ぶりに東京でソロライブがあります❣️場所は自由が丘hyphen。東京の皆さん、私のことを覚えていただけているでしょうか、生きてます😆

歌い始め✨
🎍1/5(金)関内Venus
Venus Sisters新春コーラスライブ
市川美鈴, Mariko(Vo.)
寺屋ナオ(Gt.)

🍫1/10(水)関内Ben Tenuto
新ユニットThe Lost Sweetsによる風変わりなビリー・ホリデイ特集
“Françoise Sagan Met Billie Holiday”
DJ&楽曲解説とジャズライブ、プログラム付
浅川太平(Pf.)
詳細はこちら↓
https://note.com/sakikato/n/nfa211b5d1774?sub_rt=share_b

💖1/23(火)関内Venus
小泉明子(Pf.)
こちらも最近の私には逆にめずらしいスタンダードをスタンダードに歌うライブ。

🍫1/31(水)自由が丘hyphen
The Lost Sweets企画
ソフィア・コッポラ監督の映画音楽特集第2弾!
DJ&楽曲解説とジャズライブ、プログラム付
浅川太平(Pf.)

全てのライブでコンセプトと選曲がまったく違いますので、どのライブもおすすめです❤️あなたのお好みはど〜れ?

写真は去年行ったヴェニスにて。

1/10横浜でビリー・ホリデイ特集

新年に横浜で、新ユニット、
The Lost Sweetsによる
風変わりなビリー・ホリデイ特集

2024年1月10日(水)
January 10th (Wed.)

at Ben Tenutoベンテヌート, 関内Kannai
https://ben-tenuto.owst.jp
横浜市中区弁天通3-48
045-263-6778

The Lost Sweets Presents
“Françoise Sagan Met Billie Holiday”
フランソワーズ・サガンはビリー・ホリデイに会いに行った

The Lost Sweets are:
加藤咲希Saki Kato ((Vo.)
浅川太平Taihei Asakawa (Pf.)

OPEN 18:30
1st 19:30~20:00 DJ
2nd 20:00~20:30 PIANO SOLO
3rd 20:50~21:30 VOCAL LIVE SHOW

Adv予約 ¥3,000
Door当日 ¥3,500

DJタイム&楽曲解説、ピアノソロ、ヴォーカルライブあり、プログラム付き

[プロローグ]
フランス人作家フランソワーズ・サガンはビリー・ホリデイを愛していました。彼女にとってビリー・ホリデイはジャズそのものの声だったのです。ジャズ誕生の地アメリカでの根深い差別を避けてたくさんのジャズミュージシャンがヨーロッパへ渡りました。フランスはたくさんのミュージシャンを受け入れてきた国のひとつです。フランスで生まれ育ったサガンはビリー・ホリデイの生の歌声を聴く、ただそのことの為だけに、海を渡り、アメリカを訪れました。念願のビリーの歌。ビリーはサガンに言いました、「ワーオ、あなたって、なんてクレイジーなの!」

ヨーロッパからもアメリカ大陸からもまた遠く離れた地で、13歳の少女は翻訳文学に夢中でした。サガンという美しいフランス人の女性作家との出会いがありました。朝吹三吉訳『私自身のための優しい回想』の一説には、ビリー・ホリデイへの言及がありました。世の中には、なんだか危険な香りのする、ジャズという音楽があるのだ。そして数多のシンガーの中でビリー・ホリデイという女性シンガーがジャズそのものの声をしているらしい。中産階級の白人女性であるサガンは、あなたのような恵まれた立場にいるヨーロッパ人に、アメリカ黒人女性の苦しみが理解できるのですか、と問われることがあったという。でもどんなにその好みを批判されたとしても、それでもやはり、サガンにとってのジャズシンガーはビリー・ホリデイなのだと、そこには書かれていました。

少女はさっそくレンタルCDショップで数あるビリー・ホリデイのアルバムの中から、何もわからないまま、憂えた女性の横顔に惹かれ、”Lady In Satin”を手に取りました。それは予想した以上にとても危険で、甘美で、エレガントで、野蛮な音楽でした。こんなに危険な音楽を頻繁に聴いてはいけない、人生がままならなくなってしまう、と感じました。今では、今でも、私は圧倒的にビリー・ホリデイが好きで、ままならない人生を送っています。

翻ってサガンは18歳のときに『悲しみよこんにちは』で鮮烈なデビューを果たしましたが、こちらはビリーの歌う、”Good Morning Heartache”とどう違うのでしょうか。悲しみの経験に優劣や区別が存在するのでしょうか。ブルースは人類に課せられた使命であり、責務であり、課題であり、喜びであると思います。それはアジアの極東の小さないちシンガーにとっても、演奏家にとっても、リスナーにとっても、同じことであるのではないでしょうか。

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11月10日(金)関内Venus 出演

ジャズライブのお知らせだよ!
今回は初の試み、歌詞の解説タイムあり♬

※曲の変更あり


11月10日(金)関内Venus
Jazz Live Show on Nov. 10th

加藤咲希Saki Kato (Vo.)
浅川太平Taihei Asakawa (Pf.)

https://www.venus-hk-j.com

横浜市中区太田町2-27ザ・バレル飛高ビル4F045-228-8559

1st 19:40, 2nd 21:00, 3rd 22:20

Charge
男性/Gentlemen¥6,000軽食付
女性 /Ladies¥5,000 軽食+1 drink付

数日前にユニットを結成したばかりのピアニスト浅川太平さんとのデュオでの出演!

ややこしいですが、こちらはThe Lost Sweets企画ではなく(DJなし)一見スタンダードなジャズライブです🎙
(一見と表現した理由は後に続く)

秋にちなんだメランコリーな、或いは過酷な夏が終わって実りの秋に静かに心踊るような、新曲たちをご用意しております。

さらに!今回初の試みとして、さらっと曲の歌詞の翻訳コーナーをMCに入れてみちゃおうかなーと。

【追記】

ご要望いただき、翻訳コーナーに言わずと知れた秋の人気曲、”Autumn In New York”を追加しました!

皆さんもうご存じかもしれませんが、私は英語講師で、翻訳家で、歌手なのです。そういえば以前は歌詞の解釈の教室とかやらせていただいてましたが、ここ数年はおかげさまで作品の制作で忙しくさせていただいておりましたので、自分でも忘れていました〜。

今回それをライブの合間にひょこっと盛り込んでみる試み。世の中に和訳がほとんど流通していないか、あったとしても、な〜んかちょっとずれてるんじゃないかなあ、と感じる曲をピックアップ!

でも気負わず、いつもどおりいらして下さいね〜。私が勝手に喋ってるだけなので、教室みたいにこちらから質問したりしないです(笑)私に質問していただくのはもちろんウェルカムです!

あまり有名じゃない曲は良質な和訳がなかったりするので、音の美しさに加えて、歌詞の美しさも皆さんと共有したいなと思い、ふと思いつきました。

とは言え、皆さんの反応を見つつ進めていきます。常連さまの多いヴィナスで、皆さんを辟易させることはしませんので(笑)
裕美ママもお客様も安心してね。

でも絶対楽しくなると思うのー!皆さん、歌詞の内容をあらためてちゃんと知りたくないですか?

全部で3セットあるので、1セットに1曲、歌詞の解釈を挟めたらよいかなと考えています。

今考えている楽曲は以下になります。

【✨追加曲✨】

”Autumn In New York” -亡命ロシア人Vernon Dukeが書いた秋の大名曲。歌詞もメロディも研ぎ澄まされ、知性と独特の感性による捻りの美にうっとり。

“‘Tis Autumn” -Nat King Coleの素晴らしい歌唱が記憶に残る隠れた秋の名曲

“The World Is Falling Down”
-歌手Abby Lincoln自身の作詞作曲による、去っていったジャズミュージシャンたちを偲ぶレクイエム

ソフィア・コッポラ監督の映画音楽の世界を経て

あらためて、9/26関内Ben Tenutoでのライブにお越し下さった皆さまありがとうございました!

ソフィア・コッポラ監督の映画音楽を再解釈、再構築するというコンセプチュアルな試みで、DJセット、ピアノソロ、ボーカルライブの3部構成、この日の為に書いたプログラム付きでお届けしました。

私はジャズを歌ったり、別名義でポップスの曲を書いたり、ラップしてみたり、DJをしたり、文章を書いてみたり、周りからは色々なことをしているように見ていただくことも多いのですが、私自身の感覚としてはひとつのことをそれぞれ別の角度から表出させているだけなのです。

可愛くて、優しくて、グルーヴィーで、しなやかな世界。メランコリーと、悲劇を喜劇に変える錬金術の両立。

今回はLilla Flickaというアバンギャルドなペルソナすら必要とせず、全てが自然とひとつのイベントの中に収まりました。2回目のコロナ罹患からの病み上がり、いえ、罹患中から準備を始めましたが、体調の悪さを忘れさせてくれる豊かな時間でした。ライブ当日までに歌える体に戻っていったこと、支えて下さった皆さま、音楽のカミサマの采配に感謝です。今だから告白しますが、本当にギリギリでした(笑)

このイベントを開催させて下さったBen Tenutoさん、企画段階から携わって下さった浅川太平P(PはピアノのPそしてプロデューサーのP)、そして素晴らしき才能、ガーリーカルチャーというものを世に知らしめたソフィア・コッポラ監督に最上級の敬意と感謝を。エルヴィス・プレスリーの元妻を描いたという新作”Priscilla”も楽しみです。

いろいろな意味で夢のようだったソフィア・コッポラの映画音楽の世界はここでひと区切り。この企画ライブとは双子のまた別の企画ライブは10/18(水)赤坂dot&blueにて。

江國香織さんの名訳で日本でも広く知られることとなった作家、トレヴェニアンの自伝的小説をテーマにしています。こちらのライブは、ほぼジャズスタンダードのみでお届けすることになると思います。だって小説の中に収まりきらないほどのジャズが溢れているのだもの!

リアルタイムに流れていたガーシュウィン、ハート&ロジャース、コール・ポーター、ホーギー・カーマイケル…

スタンダードジャズファンの皆さまはお読みになられたら、その豊かさに驚かれると思います。

話をソフィア・コッポラ監督の映画音楽の方に戻して…各種SNSに少しずつアップしていた今回のイベントの動画やプログラムの文章を以下に纏めました。未見の方はぜひご覧いただけたら嬉しいです!

DJ set①

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02ptLJx1mN22sUKwX9acnQb6JHuwX28DhVveBNpGfW492EQ8zhEoUSgFYEe4uVs3ZCl&id=100003921013469

DJ set②

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0FhcfsRDVs3CpECEenEYcF3usPMjjF9gGCHVBfcczynjW2UXyXYN9NN3TauraJeMHl&id=100003921013469

DJ set③

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0egCQrNVVq7zdo2RXGK6kgauaPP2W9F4tLQkpao43Sx9QxwxUWmeucnCsVwwFTmwul&id=100003921013469

Piano solo

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0HrLHbdV2DvYaQN7Ru4vGU9htFQWTboMfZzwRAdvRn2nYscx6Y9cc6V8ZbsWEyJY2l&id=100003921013469

Vocal live 

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02zETDC4GcSn6cwLsM19RoC86nJvxSYh2QF5jfuMuyQjS1khe1QTVDLHWt3vrXR5Pjl&id=100003921013469

【Piano Soloプログラム全曲解説】

< >の中は楽曲が使用された映画と登場時間

K. 213 (Sonata in D Minor) – Domenico Scarlatti

<Marie Antoinette 1:36:38>

このニ短調のソナタはマリー・アントワネットが憂鬱と退屈を持て余す場面で静かに奏でられる。曲が終わる頃には恋人のことを思い出して勝手に幸せな気持ちになり始めるというキュートな一面も。スカルラッティは1685生まれのイタリア出身の作曲家。音楽史上ではバロック期の音楽家であるとされているが、クラシック音楽の進化、発展に大きく貢献した。実際にヴェルサイユ宮殿の中でマリー・アントワネットが好んで聴いたり弾いたりしていたとされている。たった14歳の少女は政治的な理由から母マリア・テレジアの命により、フランス宮廷に嫁ぐことになる。世継ぎを産まなければならないという圧力、愛の不在、夫との友情、愛人、統治、権力闘争、噂話、孤独。そして彼女には(一時的には)湯水のごとく使えるお金があった。音楽は貴族の手習いであり、教養であり、暇つぶしであり、慰めであった。マリー・アントワネット自身もチェンバロやを歌を習い、貴族たちの前で披露することもあった。「やりすぎとか、使いすぎとか、そんなことってあるのかしら?」

The Air That I Breathe – The Hollies

<Virgin Suicides 0:16:16>

映画ヴァージン・スーサイズの物語は五女のセシリアが自殺未遂をするところから始まる。精神科医に、もっと娘たちに自由を与え、同世代の男の子たちと交流させるべきだと言われた母親は、これまでやったことのなかった最初で最後のホームパーティーを開催する。姉たちはセシリアの手首の傷をおもちゃみたいなたくさんのブレスレットをテープでとめて隠してあげる。パーティーで楽しそうにしている他の姉妹たちを尻目に、セシリアはずっと不満そう。もう自分の部屋に戻っていい?と母親に。母が許可を出した直後、今度は彼女は自殺に成功する。「煙草も、睡眠も、光も、音楽も、食べものも、本も、もう何もいらない。必要なのは君と愛を育むこと、そして呼吸するための空気だけ」

Aura Lee (Love Me Tender)

<The Beguilded 0:31:40>

アメリカ南北戦争の頃に誕生したとされるアメリカの大衆歌謡曲。舞台は南北戦争中、南部にある女性だけで運営している寄宿学校。女生徒が森の中で深く傷ついた北部の兵士を見つけ、見殺しにできず連れて帰って来る。最初は恐る恐る兵士の世話をしていた面々だが、唯一の男性の存在に少しずつぞれぞれの登場人物に変化が…、という場面で、女生徒のひとりがこの曲を口ずさむ。エルヴィス・プレスリーの”Love Me Tender”の原曲。”Aura Lee”とは、オーロラの光という意味。兵隊たちが故郷の恋人を想って歌ったとされる。「春が来て、ヤナギの上にはブラックバードがオーラリーを歌う。オーラリー、黄金の髪の少女、木々、太陽、飛び交うツバメ」

1 thing – Amerie

<Somewhere 0:13:14>

映画冒頭の15分でハリウッド映画のスター、ジョニー・マルコの生活が、たとえ華やかに見えたとしても、中身は空虚なものであろうことが淡々と描かれていく。15分の間に2回ポールダンサーたちをひとりで暮らしているホテルに呼び寄せる。2回目の音楽はこちらの 1 Thing、ドラムパターンが耳に残る2005年の世界的な大ヒットナンバー。ほぼフルレングスで流れる曲とダンサーたちの美しさが彼の生活の虚しさを際立たせる。アルコールと鎮痛剤。普段は別れた妻と暮らしている11歳の娘のクレオがやって来る直前の出来事。リズムオリエンティッドな名曲をあえて鍵盤のみで演奏するという意欲的な試み。「あれだけが私をトリップさせるの」

Smoke Gets In Your Eyes – Bryan Ferry

<Somewhere Ending>

本作のエンドロールのいちばん最後で流れるのがこの曲。11歳の娘クレオが去った後に初めて感情の揺れを見せるジョニー。元妻に電話をかけて、自分はどうしたらよいのか、自分は何者でもないと泣く。そばに来て欲しいと頼むが、それはできないと断られてしまう。でもあなたは大丈夫よ、と言う元妻。場面は変わってジョニーは慣れない自炊に挑戦、パスタを茹ですぎてしまう(きっと味も美味しくない)。住み慣れたホテルをチェックアウトし、フェラーリを飛ばして郊外へ。その後フェラーリも乗り捨て、歩き出した。「皆訊くんだよね、どうして僕の愛が本物だとわかるのかって。だから答えたよ、心の中に何か否定できないものがあるんだって。彼らはさらに言う、愛の火から立ち昇る煙で盲目になっているのだと。僕は笑った、この愛を疑うことができるなんて!でも今日僕の愛は去ってしまって、今度は皆が僕の涙を笑う番。だから笑顔を作って、消えた炎から立ち昂る煙が目にしみるんだよ、って言ったんだ」

【Vocal setプログラム全曲解説】

< >の中は楽曲が使用された映画と登場時間

I’m Not In Love -10cc

<Virgin Suicides 0:57:30>

歌詞では自分は恋なんかしていないと何度も繰り返しながら、恋の感覚に満ち満ちた曲。厳格な母親をなんとか説得して学園祭のダンスパーティーに行けることになった四姉妹(末っ子は既に自死した後の場面)。投票でベストカップルに選ばれたラックスとトリップを筆頭に、パーティー会場の陰でこっそりピーチリカーの瓶を回し飲みしたり、キスしたり。たくさんの弦楽器と効果音の層が重なりとてつもなく美しく響く原曲のフィーリングをリハーモナイズ(和音の響きを変えること)によって再解釈し、再構築を試みる。

So Far Away – Carole King

<Virgin Suicides 1:19:19>

末の娘の自殺、そして四女のラックスの朝帰りで気がおかしくなった母は、娘たちを家に閉じ込めて、学校に通うことさえ禁止する。そんな中、四姉妹を慕う男の子たちは、なんとか彼女たちとコミュニケーションを取ろうとする。通常の電話は取り次いで貰えない。そこで電話をかけて、何を喋らずレコードをかけ、メッセージを送る。電話ごしに姉妹から返ってきた曲は、”So Far Away”。「あなたはとても遠いところにいる。ずっと同じ場所にいられる人なんているのかしら?もしあなたが私の部屋のまえに来てくれたら、どんなに素敵なことでしょう。でもあなたはとっても遠いところにいる。そしてそれを知ることは、なんの助けにもならない」

Alone Again (Naturally)

<Virgin Suicides 1:18:36>

こちらも四姉妹と男の子たちがレコードをかけあってコミュニケーションを図ろうとしていた場面で。「もう少し経って、そのときに気分が少しでもよくなっていなかったらね、私は自分と約束したの、近くの塔を訪れるって。てっぺんに登って、そこから身を投げる。自分が取り残されて、ぼろぼろになっている感覚ってわかるかしら」絶望的な歌詞とは裏腹に、Gilbert O’Sullivanは明るくリズミカルに歌い上げる。

Teddy Bear

<Somewhere 1:03:53>

イタリアのテレビ番組でのひと仕事を終え疲労困憊、娘のクレオと一緒にロサンゼルスのホテルに戻ってきたジョニー。そこでホテルスタッフのロムロが1曲歌いましょうか?と声をかけてくる。ロムロが歌うのがこの曲はエルヴィス・プレスリーのヒットナンバー。優しい歌を親子が穏やかに聴く様子は本作の中でもいちばんスウィートな場面のひとつ。「ベイビー、僕を君のテディベアにして。紐をつけてどこにでも連れていって、髪を指に滑らせて、ぎゅうって抱きしめて、毎晩一緒だよ」

Magic Man – Heart

<Virgin Suicides 0:35:56>

四女のラックスと恋仲になるフィリップの登場シーンで。彼が歩くと学園じゅうの女の子たちが振り返る。遅刻しても、校内でマリファナを吸っても(!)その魅力によって許されてしまう。彼はラックスに恋をする。ラックスもすれ違った全ての男性たちを虜にしてしまうような小悪魔的で性的な魅力に溢れていて、それを自覚してもいる。退屈しのぎに男の子たちにちょっかい出してみたり。最初はフィリップを冷たくあしらうラックスだったけれど…。十代の男女のひりひりするような危うい関係。「彼が言うの、僕のことをまだ愛さなくてもいいから、ハイになろうよ。でも私はもう夢中で、ママはとても心配してるけど、でも彼って魔法が使えるの。ねえわかって、わかって、わかって」

I Fall In Love Too Easily – Chet Baker

<On the rocks 00:51> 

映画の冒頭、ビル・マーレイが演じる父フェリックスが、娘ローラに言う。「結婚するまでは君は僕のものなんだからね。いや、結婚した後も僕のものだな」

いきなり場面が変わってローラの結婚式。夫に促されてウェディングドレスのまま式場を抜け出すローラ。ベールを付けたままプールに飛び込む。ここまでずっとチェット・ベイカーの歌う”I Fall In Love too Easily”がかかっている。「自分は簡単に恋に落ちてしまう。その速度は速すぎるし、深すぎる、恋が永遠に続くためには」

It might as well be spring – Bill Evans Trio

<On the rocks 1:02:10>

ローラが父親にパーティーに連れ出される場面はビル・エヴァンストリオの名演。父フェリックスが登場するときにはほぼジャズスタンダードが流れてくる。NYの街には本当にジャズがよく似合う。父を待って手持ち無沙汰になりソファに座ったローラは老婦人の話に付き合わされることになる。「結婚は預貯金のようなもの。きちんと貯めたぶんだけ、将来引き出すことができるようになる。長持ちの秘訣はコスチュームよ」