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Jazz live show at Venus, Kannai
9月 25 @ 7:30 pm - 10:30 pm
次回ライブのお知らせ✨
9/25(水)関内Venus
“秋の訪れと松本隆の歌詞の世界”
https://www.venus-hk-j.com
横浜市中区太田町2-27
ザ・バレル飛高ビル4F
045-228-8559
加藤咲希(Vo)
浅川太平(Pf)
1st 19:40, 2nd 21:00, 3rd 22:20
MC+TC Gentlemen¥5000お通し付, Ladies¥4000お通し&1drink 付
今回のライブは、実験的に、1/3が松本隆作詞の日本語の曲、2/3は秋の訪れを彩るジャズスタンダードという構成で臨みたいと思います。
まだまだ暑い日も多いけれど少しずつ秋の気配を感じています。芸術の秋、収穫の秋、読書の秋。過ごしやすくなってくる季節に読書はぴったりだと夏目漱石が『三四郎』で中国の唐代の詩人である韓愈が詠んだ「灯火親しむべし」を引用したことに端を発しているようです。
私がこの秋、やってみたいことのひとつが、日本語の曲を歌うこと。
それぞれのジャズシンガーが様々な背景を持ってステージに立っていると思います。私の場合は、子供のときにクラシックピアノを習っていた以外、意識的に音楽を聴き出したのはLauryn Hill、hip hop からで、そこからグランジ経由でUSオルタナ、さらにUKインディーロックを経由し、ジャズに帰着したので、音楽遍歴の中に殆ど日本語の曲がありませんでした。いわゆる歌謡曲と言われるようなものには何の免疫もなく、ただただ知りませんでした。
私は歌手業と同時に語学講師や翻訳業もやらせていただいておりますが、自分が理解している言語で歌うこと、自分が理解しない言語で歌うこと、自分が理解している言語の歌を聴くこと、自分が理解しない言語の歌を聴くこと、それぞれの妙を考えます。
歌手のカタコトにはカタコトのエキゾチシズムがあり、第二言語には第二言語のエキゾチシズムや客観性があるので、私は必ずしも歌唱言語と理解する言語、ましてや母語が一致していなければならないとは思いません。
リスナーの立場においては、音だけで理解できる言語で歌われた曲を聴く良さもあれば、訳を読み込まないと意味が理解できない言語で歌われた曲を聴く良さもある。言語が直接入ってこないことによって生まれる想像力や客観性がその音楽体験を豊かにすることは大いにあると考えます。
最近は、海外からの観光客の方がふらっと出演場所にいらっしゃることも多くなりました。何か日本語の曲を歌っていただけませんか?とリクエストされることもあります。
逆説的に、大半の日本のリスナーの方々が音だけで理解できる言語で歌う、日本の文脈で日本語で歌う、このしごく当然なあり方を全く経験して来なかったことに気づき、われながら衝撃を受けました。そこで、少しずつ、日本語の曲もレパートリーに取り入れていこう、というのが私のこの秋の挑戦になります。
生まれて初めていわゆる歌謡曲と呼ばれるものの一端を意識的に聴きました。そこで驚いたのは、なんと歌詞の世界の豊かなこと!
私がジャズボーカルに惹かれた理由として、曲がクールである、スウィングのグルーヴが好き、そして、歌詞の表現が豊かである、ということがあったと思うのですが、歌謡曲の世界はジャズスタンダードの歌詞の世界のように、こんなにも豊かなのですね…。凄まじい音楽的言語能力を持った天才たちの匠の業の応酬。
もしかしたら私が歌謡曲を見る目線は、シティポップをジャパンクールとして、レコードをディグりに来るインバウンド目線と似たようなものかもしれません。ここにもエキゾチシズムとある種の客観性が宿ります。
中でも、松本隆の歌詞には完全にやられました。歌詞だけ読んでも全く入って来ないのですが、歌手が歌ったときの音と言葉の一致感、リズム感、婉曲のセンシュアリティ。特に松田聖子との蜜月はそれはそれは美しく、今回準備してしている松本隆作詞の曲の半分は聖子ちゃんの曲になります。二十歳そこそこの松田聖子の神がかった可愛さに悶えながら映像を見て曲を覚えています。
薬師丸ひろ子とか、原田真二も歌う予定です。私よりお越し下さるオーディエンスの方々の方がよっぽど詳しいかもしれませんね。Nat King Coleが歌ったあの秋の曲とか、秋のニューヨークのあれとかも歌います。
これらが全てがジャズピアノとジャズボーカルという媒介を通してさらっと馴染み合う(ジャズミュージシャンとDJって音楽へのアプローチが近いと思うのですがこの話はまた別の機会に)、エキゾチックでチルな空間へ、お越しをお待ちしております。